「南米人材発掘×U23創設」、オークツリーのビジョンと一致するCSO
28年間にわたってインテルを支えてきたピエロ・アウジリオが去った。クラブ公式発表の翌日、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』と『コッリエレ・デッロ・スポルト』両紙が、アウジリオのスポーツディレクター退任の舞台裏や、ダリオ・バッチンと歩む今後の見通しを伝えている。
●インテルに衝撃。アウジリオSDが28年目で退任、後任にはバッチンが決定
アウジリオ退任の理由
アウジリオの決断は、前日の報道でもあったとおり、契約延長交渉における条件の不一致だったというのが各紙の共通見解だ。年俸面だけでなく契約期間の面でも、オークツリーが提示した単年契約のオファーはアウジリオにとって受け入れがたいものだったとされる。
オークツリーによる評価とアウジリオ本人の自己認識には大きな隔たりがあり、誰もがインテル一筋を貫くであろうと思われていた人物との別れとなった。
この歴史的な別れは、同時に新たな時代の幕開けを意味している。その後任となったのは、長年アウジリオの右腕として数々の移籍交渉に携わってきたバッチンだ。もっとも、クラブが新設したのはスポーツディレクターではなくチーフスポーツオフィサー(CSO)というポストであり、厳密には「後任」とは言えないものの、テクニカル部門を統括する立場であることに変わりはない。
果たして新体制のインテルはどのような路線を歩むのか。
バッチンは何者?
コヴェルチャーノでスポーツディレクター養成過程を優秀な成績で修了してから16年、恩師アウジリオから直接その大役を引き継いだバッチンは、生粋のインテリスタ家庭に生まれ育ったという。シエナでの短期間の経験を経て、恩師ジョルジョ・ペリネッティに請われる形でパレルモのフロント入りを果たし、2017年には副ディレクターとしてインテルへ加入した。
興味深いのは、バッチンへの評価がインテル内部にとどまらない点だ。『ガゼッタ』が伝えたところによると、ジュゼッペ・マロッタ会長は自身がユヴェントス幹部だった当時、インテル加入前のバッチンの動向をすでに調査し、フロント入りの候補としてリストアップしていたという。確かな眼力と手腕は、カルチョ界の重鎮からも早くから認められていた。
インテルでの主な業績と、今後の展望
バッチンはアウジリオの右腕として様々な移籍オペレーションに深く関わってきたが、時には自らがプロジェクトを主導することもあった。その代表例が、インテルU23の創設だ。才能の発掘と育成を得意とするだけに、今後この路線がさらに強化されると見られる。
余談だが、メルカート終盤の8月29日には、ヴェローナからブラジル人の守備的MF、チャーリスがインテルU23に加入している。数日前から噂は出ていたものの、昨季はレッジーナでプレーしていた22歳の加入は、少し唐突だった印象もある。
また、バッチンといえば南米への長期出張のイメージも強い。どのクラブも若い才能を求めている。イタリア国内のみならずヨーロッパ全体から有望株をかき集めているいまの時代、他クラブを出し抜くような補強は決して簡単ではない。そうした中、南米にまでスカウト網を広げれば新たな発見も期待できる。バッチンは早くからこの道を切り拓いてきた人物だ。
若手の育成と才能の発掘という両輪を回すバッチンは、オークツリーの戦略と一致していると言える。オークツリーがアウジリオに長期契約を提示しなかった背景にも、より持続可能で若手発掘に重きを置くプロジェクトへのシフトがあるのかもしれない。
歴史的な転換点に?
『コッリエレ』は、「Made in Inter」の生え抜きを昇格させる道を選んだとしつつも、それがバッチン一人の昇格にとどまらない可能性を指摘している。将来的にはイタリア国外から新たな知見をもたらす人物を招き入れ、南米での若手発掘とU23という路線に組み合わせることで、新たなインテル像を作り上げていくのではないかとしている。
インテルを知り尽くした男の退団は、クラブの歴史的な転換点になるのだろうか。今後の動きに注目が集まっている。

