シーズン後半戦の決定力は絶望的
2025/26シーズンのスクデット争いは、インテルの戴冠という形で決着を見た。残り3節となった現在、カンピオナートの焦点はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権の行方に移っている。
その中で、ミランの失速が大きな懸念材料となっている。一時はインテルと優勝を争う位置にいたが、直近5試合で1勝1分け3敗と精彩を欠き、現在は5位ローマに勝ち点3差まで詰め寄られた3位。CL出場権獲得は決して安泰とは言えない状況だ。
降格圏レベルに沈むFW陣の得点数
特に深刻なのは、FW陣の不発だ。
第20節以降、ミランの総得点は16を数えるが、そのうちFW登録の選手によるゴールはわずかに5。内訳はラファエル・レオンとクリストファー・エンクンクが各2得点、ニクラス・フュルクルクが1得点にとどまり、クリスティアン・プリシッチとサンティアゴ・ヒメネスに至ってはノーゴールという惨状だ。
直近5試合での総得点は1のみ。それもMFのアドリアン・ラビオによるものであり、FWが最後にネットを揺らしたのは3月1日のラファエル・レオンまで遡る。
この「FW陣の後半戦5ゴール」という数字は、CL権を争うクラブとして致命傷になりかねない。セリエA全20クラブの中で下から3位タイの成績であり、残留争いの中にいるクレモネーゼ(4点)や降格が決まったヴェローナ(4点)とピサ(5点)、と同水準の得点力にまで落ち込んでいる。
対照的に上位勢のFWは結果を残している。優勝したインテルのFW陣は合計18ゴールを記録。ユヴェントスとローマも14ゴールを挙げており、特にローマは冬に加入したドニエル・マレンだけで11ゴールを量産している。
xGが暴く決定力の低迷
得点力不足の原因はチャンスの欠如ではない。データサイト『FotMob』が算出するゴール期待値(xG)において、ミランの数値はリーグ4位の54.7を記録している。
しかし、実際の得点数(G)は48。期待値と実得点の乖離を示す「G-xG」は-6.7となっており、これはリーグ全体で16位という極めて低い効率である。
インテルが+17.1、ナポリが+4.3、ローマが+4.1を記録しているのと比較すれば、ミランがいかに決定的な場面で精度を欠いているかが浮き彫りになる。
個々のスタッツにみる期待値との乖離
個別のスタッツを見ても、FW陣の精彩の欠き方は顕著だ。
エースのラファエル・レオンは、ここまで9得点を挙げているがxGは9.77。PKでの2得点を除けば、60本のシュートで7ゴールという効率だ。90分あたりのシュート数はチーム最多を誇るが、個の打開がゴールという結果に結びついていない。
クリストファー・エンクンクとニクラス・フュルクルクも期待値を下回っている。エンクンクは5ゴールを挙げているが、そのうち3つはPKによるものだ。PKを除いたxGが4.42であることを考えれば、流れの中からの2ゴールという数字は物足りないと言わざるを得ない。
数字の上で最も深刻なのはサンティアゴ・ヒメネスだ。負傷離脱が長かったものの、22本のシュートを放ちながらいまだ無得点というのはストライカーとして厳しい現実である。
一方で、MFのラビオはxG3.75に対して6ゴール、アシスト期待値(xA)2.62に対して4アシストを記録。その事実が、皮肉にもFW陣の決定力不足を強調する形となっている。
決定力次第でスクデットレースも違っていた?
仮に、インテルのゴール数が期待値どおりであれば、まだスクデットレースは終わっていなかったかもしれない。仮にミランのゴール数が期待値どおりであれば、インテルとスクデットレースをしていたかもしれない。
データが突きつけるのは、ミランは「チャンスは作れているが、決める人間がいない」という冷酷な事実である。
今夏のメルカートでFWの補強が最優先課題であることは疑いようがない。しかし、ワールドクラスのストライカーを獲得するためには、CL出場権の確保が絶対条件となる。そのためには、現在批判の矢面に立たされているFW陣が、残り3試合で奮起するほかに道はない。
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