ユヴェントスは「居場所をつくろうとしている」?
今年1月にバイエルン・ミュンヘンからユヴェントスのセカンドチームにあたるNextGenに加入したアディン・リチナが、着実にトップチームへの階段を上っている。移籍市場の専門記者マッテオ・モレットが8月19日に伝えたところによれば、クラブは今シーズン中に彼がチャンスをつかめるよう、トップチームに居場所を作ろうと動いているという。
プロフィール
- フルネーム:アディン・リチナ(Adin Ličina)
- 生年月日:2007年1月6日(19歳)
- 出身:ドイツ・ランツフート(家族の出身はモンテネグロ)
- ポジション:トレクァルティスタ、ウイング
バイエルンからユヴェントスへ
リチナはバイエルン・ミュンヘンの下部組織出身で、同クラブでも将来を嘱望される存在だった。しかしトップチームにはムシアラ、ディアス、オリーセらが並び、若手が割って入る余地は事実上なかった。契約満了が近づく中で新たな契約延長の見通しも立たず、リチナは今年1月から2月にかけてユヴェントスへの完全移籍を選んだ。
この移籍でバイエルンは、将来リチナが売却された際の移籍金の30%を受け取る権利と、将来オファーが出た際に同条件でマッチできる買い戻しオプションを保持している。単純な放出ではなく、育成先として送り出しつつ将来的な利益も確保する構造であり、バイエルン側が今もこの才能を高く評価していることの裏返しと言える。
2025/26シーズンのセリエCでは、3月以降にトレクァルティスタの定位置を確保した。シーズン終盤の第36節グイドーニア戦では、ペナルティエリア外から左足で決勝ゴールを決めるなど、結果でも存在感を示してきた。
今夏のプレシーズンは全日程に帯同し、スパレッティ監督は間近でその性格の成熟度と、狭いスペースでのボールコントロールの卓越ぶりを見極めてきた。その後、NextGenに戻り、コッパイタリアではセカンドチームに帯同しているが、その才能に、多くのクラブが注目している。
特徴・プレースタイル
リチナの特徴は、ポジションを固定しないプレーぶりにある。後ろのポジションから運びながら創造性を発揮するタイプで、狭いスペースでの技術と、味方を活かすパスセンスを持ち味とする。
7月19日のバーゼル戦(プレシーズンマッチ)の選手採点で『トゥットスポルト』は、「若手らしい萎縮とは無縁の、身の丈に合った自信あふれるプレーぶりだった」と好意的に取り上げていた
ユルディズと並ぶ”二枚看板”の誕生となるか
リチナのキャリアは、ケナン・ユルディズの歩みと重なる部分が多い。2人は同じ代理人がついており、アディダスがスポンサーについていることも同じだ。そして、ともにドイツの名門からユヴェントスへ加入し、NextGenを経て、トップチームへ近づいてきた。
21歳のユルディズは、昨季のセリエAで10ゴール7アシストを記録し、すでに不動の地位を確立した。同じような歩みをリチナが続けたら…、とユヴェンティーノたちの期待は膨らむばかりだろう。
2人はロッカールームでも親しい間柄とされ、ユルディズ自身がリチナのトップチーム起用を後押ししているという。利き足が逆(ユルディズは右、リチナは左)であることも含め、2人はライバルというより、ユヴェントスの攻撃陣を厚くする並走関係にあると見た方が実態に近い。
トップチーム定着への道筋
モレットは「ユヴェントスはリチナのために計画を持っている」とし、クラブが今シーズン中に彼の居場所を作ろうとしていること、セリエAの他クラブもすでに獲得に興味を示していることを明らかにしている。ユヴェントス経営陣もこの状況を把握した上で、引き抜かれるリスクを避けながら育てる道を模索しているようだ。
最近では、セリエBのアヴェッリーノが獲得オファーを用意しており、リチナ本人も武者修行に前向きな姿勢を示しているという。
セリエA下位クラブという選択肢もある中でセリエBでよりコンスタントな出場機会を得る道を選ぶのか。期待の才能はどんな道を選び、どのように成長していくのだろうか。
内部で育ったユルディズという新たなアイドルが出てきたユヴェントスに、もう1人アイドルが育つのかに注目だ。

