ターレ排除で問題は解決するのか。ミラン、迷走の責任はどこに?

「組織の不一致」と「補強戦略の欠陥」をイタリア人記者が指摘

ミランの周囲が騒がしい。まずは来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いに集中しなければいけないが、すでにイグリ・ターレSDの退任が濃厚と言われ、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の去就も注目されている。

●ミラン、ターレSDが退任濃厚 アッレグリ体制も終焉?

ただ、現在の不振は一人の責任に帰結するものなのだろうか。

『スカイ』のペッペ・ディ・ステファノ記者と『TMW』のファブリツィオ・ビアシン記者は、ミランが構造的な問題を抱えているとみている。

責任の所在はターレ一人のみにあるのか

イグリ・ターレの退任が現実味を帯びるなか、ディ・ステファノ記者は「責任を彼一人に押し付けるのは困難だ」と警鐘を鳴らす。

「(失敗補強と評価される)クリストファー・エンクンクやアルドン・ヤシャリの獲得が、果たしてターレ一人の望みだったのか。私はそうは思わない」

「大金を投じて獲得したサンティアゴ・ヒメネスは1年間ゴールがなく、アルバロ・モラタもわずか4カ月で放出された」

「組織全員が同じ方向を向いていなければ、前進は難しい。若く有望な選手を求めるのであれば、補強のミスは許されず、何より一枚岩である必要だ」

同記者は、かつての黄金時代を築いたシルヴィオ・ベルルスコーニとアドリアーノ・ガッリアーニの体制を引き合いに出し、対話の重要性を説いた。

「ベルルスコーニとガッリアーニも、常に意見が一致していたわけではない。だが、彼らには対話があり、一緒に仕事をしていた。今はターレやアッレグリといった個人のミスに焦点が当たっているが、実際には全員が同じ船に乗っていることを忘れてはならない」

ズラタン・イブラヒモビッチの「沈黙」と「決断」

注目されるのは、レッドバードのシニアアドバイザーを務めるズラタン・イブラヒモビッチの動向だ。2024/25シーズンの失敗を受けて表舞台から消えていたレジェンドは、再びミランで舵取りを任される可能性がある。

ディ・ステファノ記者は「イブラヒモビッチのキャラクターや影響力を考えれば、メディアとの調整役をこなすのは複雑だっただろう。忘れるべきではないのは、彼はミランのフロントではなく、あくまでレッドバードの人間だということだ。だが、来シーズン、オーナー側はもう失敗を繰り返すことはできない。これ以上の時間を無駄にすることは許されない」と指摘した。

「勝利」よりも「収支」を優先する補強の歪み

一方、ファブリツィオ・ビアシン記者は、ミランの慢性的な「ストライカー不足」の根源に鋭く切り込んだ。同氏によれば、問題は現場の判断ではなく、クラブの優先順位にあるという。

「ミランが毎年、最も重要なポジションであるはずのストライカー選びに失敗しているのには理由がある。彼らはピッチ上の結果よりも、会計上の収支を優先しているのだ」

同記者は、具体的な名前を挙げて戦略の不備を批判した。

「市場の終盤に『お買い得品』を狙う姿勢が、結果として補強の失敗を招いている。夏に獲得可能だったラスムス・ホイルンドを見送り、冬にヒメネスを獲得した。最終的には移籍市場の最終盤に4000万ユーロを投じてエンクンクを確保したが、アッレグリが求めるシステムに合致していたとは言い難い。安く済ませようと時間を浪費した結果、最も重要な駒を勘違いしている」

補強の失敗でターレSDを排除するのは、一見理にかなった動きに見える。しかし、その補強を最終的に承認したのは誰なのか。そして、他の選択肢が排除された背景には何があったのか。

問題の根本を見誤れば、今後も同じ過ちを繰り返す可能性がある。ミランの行く末を注視してきた人々は、その構造的な欠陥を何よりも危惧している。

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