「感情をコントロールする方が無理」
インテルのレジェンド、ジュゼッペ・ベルゴミが、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝のインテル対バルセロナ戦での解説を振り返った。この試合で彼は、長年培ってきた冷静なスタイルとは一転、感情を爆発させたことでSNSを中心に「偏りすぎでは?」という声が上がった。
ベルゴミは、この日も実況のファビオ・カレッサとともにコンビを組んだ。ベルゴミはインテルの元カピターノでありながら、これまで公正な分析と的確なコメントで信頼を集めてきた。しかし、この一戦では「感情を抑える方が無理だった」と語る。
『コッリエレ・デッラ・セーラ』と『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューで、ベルゴミは当日の心境を次のように明かした。
「やりすぎ? あれは唯一無二の夜だった。心で語るほかになかったんだ」
「感情を抑えるなんて、どうやってできようか。全員を満足させる解説なんて無理だ。私はいつでも、全ての人をリスペクトした上で、自分の意見を素直に言いたい。あのスタジアムの雰囲気は、テレビじゃ伝わらないんだ」
「試合後に泣いたのは、これが初めてじゃない。2026年のワールドカップ決勝もだし、ジャンルカ・ヴィアッリとの関係があったEUROのときもだった。あと、2016年のリヴァプール対ドルトムント、アンフィールドでリヴァプールが劇的ゴールで勝ったときもそうだった」
今回、彼の感情を揺さぶったのは、インテルの「魂」だったという。
「インテルは最強じゃない。でも、スピリットで限界を超えてくる。バルセロナはとてつもない若手がいるけど、37歳のアチェルビが93分に同点弾を決めて、36歳のゾマーが全部止めた。理屈じゃない。歴史的な試合だった」
偏りを指摘する声にも、ベルゴミはこう答えている。
「感情を抑えるほうが無理だ。ユヴェントスやミランが試合をしていても同じように熱くなっていたと思う。25年間この仕事をさせてもらって、一番多くきたクレームはインテリスタからなんだ。でも、あの試合みた? あんな試合あり得ないよ」
実際のエピソードも明かした。
「2019年3月の試合だ。ユヴェントスがマドリッドでアトレティコに0-2で負けたあと、セカンドレグでクリスティアーノ・ロナウドがトリプレッタをして逆転した。そのときも同じような感じだったんだ。その2日後、サン・シーロでインテル対フランクフルトへ行ったら、インテリスタが『ユーヴェ寄りだ』って怒られた(笑)。もう慣れたよ」
「イタリア勢同士の対戦だったら、もちろん公平にやる。でも、そうでなければ、感情に流されるのは自然だと思う。テレビでは伝わらない、“電気が走るような空気感”がある。実際に感じないと分からないものだ。だからこそ、その感情を視聴者に伝えるべきだと思っているんだ」