ホーム3試合超の無断キャンセルで翌年の更新権失効へ
2025/26シーズンのセリエAで4位となり、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)初参加を控えるコモで、シーズンチケットの販売が開始された。
クラブにとって歴史的なシーズンに向けて、カンピオナート19試合とコッパ・イタリア初戦を対象とした年間シートの更新受付が行われている。
しかし、同時に発表されたスタジアムおよびチケットの新規定が議論を呼んでいる。
クラブは規定の冒頭で「ホームゲームへの需要がかつてないほど高まっている中、チケットがコモのティフォーゾの手元に残り、シニガリア(本拠地)がすべての人にとって安全で快適な場所であり続けるようにしたい」と説明した。
特に争点となっているのが、シーズンチケットホルダーの無断欠席についての取り決めだ。
3試合超の無断欠席で翌シーズンの更新権をはく奪
規定には「事前に通知せず、正当な理由なくホームゲーム3試合を超えて欠席した年間シート保持者は、翌シーズンの更新権を失う可能性がある」と記されている。
クラブ側はこの決定について次のように説明した。
「利用可能なすべての座席をコモのティフォーゾで埋めたい。そのため、コモのファン向けに発行されたチケットは、コモのファンにのみ譲渡されるべきである。これらの変更は、我々のファンを守り、メインスタンドをファミリー層に適した環境に保ち、シニガリアを特別な場所にしている雰囲気を維持するために導入された」
アウェーチームのシンボル着用を制限
2つ目の変更点は、対戦相手のクラブやファンから批判を受けている。
アウェーサポーター専用エリア以外で対戦相手のユニフォームやマフラーといった応援グッズの着用が全面的に禁止となる条項が盛り込まれた。違反した場合、コモ側は試合中の退場措置を適用する権利があるとしている。
スワルソ会長「多くの誤解がある」
こうした新規定による反応を受け、コモのミルワン・スワルソ会長は自身のインスタグラムを通じて説明を行った。
「シーズンチケットのルールについて多くの誤解を目にしたため、いくつかの点を明確にしたい。まず第一に、最低試合数に達しないからといって、シーズン中に年間シートが取り消されるわけではない。単に、翌シーズンの年間シートを更新する権利を失うという意味だ」
同会長は、他の規定についても同様の原則が適用されると解説している。
「割り当てられた座席がコモのファン以外の者によって定期的に使用されていることが判明した場合、年間シート保持者は翌シーズンにそれを使用する権利を失う」
「対戦相手のチームカラーを着用しないよう求める要請については、このルールは年間シート保持者に適用される。年間シートはコモのファンのために用意されているものだ。スタジアムに行きたくてもチケットが売り切れていて入れないコモのファンが多数いる中で、なぜコモの年間シートを保持しながら対戦相手のファンに席を譲る必要があるのだろうか」
さらに、子どもへの配慮についても言及した。
「当然ながら、この要求は子どもには適用されない。応援するクラブがどこであれ、憧れの選手を応援したいと願う子どもの体験を壊すつもりは全くない」
スワルソ会長は次のように締めくくっている。
「我々の目的は、シーズンチケットとシニガリアの座席が、本当にコモを愛し、応援したいと願う人々に届くようにすることだ」
シニガリアの極小キャパシティと転売問題
コモの本拠地シニガリアはキャパシティが1万2039人と、セリエAでも最小クラスのスタジアムである。ビッグクラブとの対戦やCLの舞台となれば、チケット入手の難易度はさらに跳ね上がる。
シーズンチケットは基本的に一度取得してしまえば、名義変更手続きを通じて友人や知人に譲渡することが可能だ。チケットがプラチナ化しつつある現状では、試合観戦に行く予定がなくてもシーズンチケットさえ保持していれば、“譲る相手”を見つけるのは容易い。結果として、ビッグゲームではアウェーチームのファンに高額で権利を譲渡し、一般的なゲームでは空席のまま放置するといった事態が起こり得る。
イタリアの電子チケットシステムの厳格化に伴い、各クラブが名義貸しや転売への対策を進めているとはいえ、個人間取引を完全に防ぐことは難しい。今回のペナルティ導入は、無断欠席やアウェーファンへの譲渡に明確なリスクを課すことで、代理店やいわゆる転売ヤーが年間シートを「ビジネスの道具」として保持できない仕組みを作り上げる狙いがあると読める。
熱狂的なティフォーゾとスタジアムの雰囲気をつくるためのこの劇薬が、シニガリアにどのような変化をもたらすのか。今後のセリエA各クラブのチケット戦略にも影響を与える試金石となりそうだ。

