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厄介者か、それとも救世主か――ルカクがセネガル戦で見せた「本来の顔」

FIFAワールドカップで牙をむいた、ベルギーのモンスター

北中米ワールドカップの決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)で、ベルギー代表はセネガル代表との死闘を延長戦の末に制し、劇的な逆転勝利を収めた。この逆転劇で名実ともにヒーローとなったのは、決勝点を挙げた主将のユーリ・ティーレマンスである。だが、その陰でロメル・ルカクがピッチ内外で見せた振る舞いにも、大きな注目が集まった。

とりわけ、イタリアのカルチョを通じて彼を知る人々にとっては、複雑な心境を呼び起こす一戦となった。

内紛の鎮圧と、「125分」のPKに隠された真実

試合の主導権を握っていたのはセネガルだった。2点のビハインドを背負い、機能不全に陥ったベルギーの重苦しい空気は、後半のハイドレーションブレイク中に頂点に達する。ピッチ上でティーレマンスとレアンドロ・トロサールが激しい口論を始めたのだ。

このチーム崩壊の危機を寸前で食い止めたのが、後半頭から投入されていた33歳のベテラン、ルカクだった。2人の間に割って入り、毅然とした態度でその場を収めた姿には、前線で孤立するだけのストライカーではない、真のリーダーシップが宿っていた。

精神的支柱となったルカクは、プレーでもチームを牽引する。86分、トマ・ムニエの低いクロスを圧倒的なフィジカルでねじ込み、反撃の狼煙となる1点目を奪取。さらにトロサールのクロスにティーレマンスが合わせて同点とし、先ほどまで言い争っていた2人が呼応する形で、試合を延長へと持ち込んだ。

そして延長後半アディショナルタイム、VARの介入によってベルギーにPKが与えられる。

判定を待つ間からルカクは精神を統一し、自らキッカーを務める意思を明確に示していた。しかし、相手選手からの激しいプレッシャーに晒されるなか、最終的にボールを託したのは主将ティーレマンスだった。

ルカクは試合後、PKを蹴るつもりだったのかと問われ、こう明かしている。

「蹴ろうと思ってボールを持った。けれど、いまの自分のメンタルを考えると、この重圧を背負うのは厳しいと感じたんだ。だからユーリに譲るべきだと判断した」

近年のイタリアでの一連の出来事を思えば、この決断は「自己中心的」という彼に貼られたレッテルとは正反対のものだ。もっとも、いざチームの中心に立ったときの彼が、誰よりもチームプレーヤーであったこともまた事実であり、それを改めて思い出させる場面だった。

イタリアメディアの賛辞と、冷めた視線

普段は辛辣なイタリアメディアも、この日のルカクには一斉に賛辞を送った。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、同点弾を頭で押し込んだティーレマンスを「決定的な男」と称えつつ、後半頭から投入されたルカクもまた決定的だったと記した。『コッリエレ・デッロ・スポルト』は「86分まで2点ビハインドだったベルギーは、スーペルなルカクに引きずられるようにして蘇った」と、その変貌ぶりを驚きとともに伝えている。『スカイ』の採点でも、途中出場ながら「7」という高評価が与えられた。

しかし、称賛が大きいほど、セリエAのファンが向ける冷徹な視線とのギャップは浮き彫りになる。

かつてインテルを去った際の経緯から、多くのインテリスタにとって、彼はいまなお受け入れがたい存在だ。加えて、ナポリに所属した2025/26シーズンには、クラブの許可を得ないままベルギー国内で調整を続けたことがアントニオ・コンテ監督らの逆鱗に触れ、サポーターからも愛想を尽かされかけていた。ピッチ外で繰り返されるゴタゴタが選手としての評判を著しく損ねてきたことは、紛れもない事実である。

ルカク自身は大会前の会見で「メディアはケガのリハビリを大げさに報じた。ナポリへの愛情は変わらない」と語り、「4月の時点では、僕がW杯に出られるなんて誰も思っていなかった。ここにいるだけで、個人的には満足度8点だ」と胸の内を吐露していた。クラブ側が抱く「扱いづらいベテラン」という冷ややかな視線と、本人の主張との間には、いまだ埋まらない隔たりが横たわっている。

不器用なモンスター

2022年のカタールW杯では、コンディション不良も重なって決定機を逸し、”戦犯”として激しい批判を浴びた。それから4年、ベルギー代表の歴代最多得点者は、再び窮地に陥った母国を、自らの手で救い出してみせた。

プロ意識に疑問符を突きつけられる「クラブの問題児」としての顔と、土壇場でチームを一つにまとめる「代表の英雄」としての顔。圧倒的なキャプテンシーと脆さを併せ持つその姿は、彼を嫌うファンにさえ、皮肉にも絶対的な実力とピッチ上での価値を再確認させた。

イタリア代表不在のワールドカップで、多くのカルチョファンが割り切れない感情を抱えながら、この不器用なモンスターの行方を見つめている。

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https://twitter.com/BelRedDevils/status/2072506560534741000

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