ローマ下部組織からセリエBでの武者修行を経てカリアリのレジスタに定着
カリアリの20歳、アレッサンドロ・ロマーノがロベルト・マンチーニの新生アッズーリに名を連ねた。
昨年はU-20スイス代表としてプレーしていたが、FIFAの承認を経てイタリア代表入りを果たした。25日のベルギー代表戦では、ニコロ・バレッラ、サンドロ・トナーリとともに先発で中盤の底を任される可能性さえ取り沙汰されている。
ブレイク中のロマーノはどんな選手なのかを紹介する。
プロフィール
- 名前:アレッサンドロ・ロマーノ(Alessandro Romano)
- 生年月日:2006年6月17日(20歳)
- 出身:スイス・チューリッヒ
- 国籍:イタリア(2026年9月、スイスから国際大会出場資格を変更)
- 身長:180cm
- ポジション:MF(レジスタ、インサイドハーフ)
- 所属:カリアリ(ローマからのレンタル)
これまでのキャリア
父ウンベルトはプロサッカー選手としてスイス南部のティチーノ州ロカルノやルガーノでプレーした経験を持ち、兄も同じ道を歩んだ。そんなカルチョ一家に育ったロマーノがボールを蹴り始めたのは、地元スイス・ヴィンタートゥールの下部組織だった。
2022年、16歳でローマの下部組織に加入。プリマヴェーラのレギュラーへと成長し、2024/25シーズンにはプリマヴェーラのスクデット獲得に貢献、下部組織の主力に上り詰めた。
2026年1月6日、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の下、レッチェ戦でセリエAデビューを飾った。その冬の移籍市場でスペツィアにレンタル移籍すると、すぐにレギュラーポジションを獲得。セリエBで通用することを証明した。スペツィアはセリエCに降格となった一方で、ロマーノはセリエAカリアリへステップアップを果たすことになる。
ローマは完全移籍を前提としたレンタルでロマーノを放出。レンタル料は50万ユーロで、一定条件達成で買い取りが義務となる予定で、この金額はメディアによって差があるものの、600万〜650万ユーロとなっている模様だ。
セリエA開幕節、アウェーのパルマ戦でいきなり先発に指名されると、決勝点となるゴールを記録した。このゴールをスタジアムで直接目撃していたのが、ちょうどイタリア代表の指揮官に復帰したばかりのマンチーニだった。
以降、インテル戦、レッチェ戦、アタランタ戦、ウディネーゼ戦と全試合に先発出場。カリアリの好発進を支える一人となっている。
プレースタイル
180cm・73kgのサイズで、決して小柄ではないものの、パワーよりもバランスと敏捷性を生かすタイプの現代的なMFといえる。長い距離を一気に運ぶ爆発力よりも、狭いスペースでの局面処理の速さでボールを失わない技術が武器だ。
生粋の左利きながら右足の精度も高く、ビルドアップの流れを損なわない。最大の武器はパスの配球で、ショート・ロング問わず正確なパスでゲームのテンポを支配し、サイドチェンジや裏への楔のパスで相手守備ラインを切り裂く。加えて精度と威力を兼ね備えたミドルシュートや、飛び出しのセンスも持ち合わせ、アタッキングサードでも違いを作れる。
本人が公言する手本は、マンチェスター・シティのロドリだ。
そのほかに、ケビン・ストロートマンを引き合いに出す声もあれば、代表でチームメートのダヴィデ・フラッテージはネマニャ・マティッチを想起させると語っていた。
守備に回った際の運動量やハードワークの意識はセリエBの舞台ですでに証明済みだが、守備的な読みやインターセプト、空中戦では伸びしろを残す。セリエAで継続的に結果を出すには、この部分の成長が欠かせないという指摘がある。
これまでは主にアンカー、あるいは2ボランチの一角としてディフェンスラインの前でプレーしてきたが、攻撃時の飛び出しの質を考えれば、ビルドアップ役のメッツァーラとしての起用にも対応できるポテンシャルを持つ。
スイスからイタリアか――国籍変更の舞台裏
スイスで生まれ育ちながらイタリア国籍も持つロマーノは、これまでスイス代表のU-16からU-20まで各年代で通算34試合に出場してきた。過去にはシルヴィオ・バルディーニ率いるU-21イタリア代表候補への招集を辞退した経緯もあったという。
イタリア側との最初の接点は、現在イタリア代表のテクニカルディレクターを務めるクラウディオ・ラニエリだった。ローマ時代からロマーノを知る人物だ。そしてマンチーニ自身は8月22日、パルマでの開幕節を直接スタンドから視察した。ちょうどロマーノが決勝ゴールを決めた試合である。
一方のスイスも引き止めに動いた。ムラト・ヤキン監督は8月末に自らカリアリまで足を運び、グラニト・ジャカの後継者としての将来を約束したとされる。しかしロマーノの心はすでにイタリアに固まっていた。
この決断の背景には、一筋縄ではいかない事情も横たわる。
ロマーノはスイスサッカー協会のエリート育成プログラム『Footuro』に長年名を連ねてきた選手だった。有望株を早期に強化し、代表定着へと導くための制度で、スイスの公共放送RSIによれば、協会はロマーノ個人の育成に累計10万〜15万スイスフランを投じてきたとされる。
スイス側の情報筋によれば、このプログラムへの参加には拘束力のある契約への署名が伴っており、代表チームがその投資の恩恵を受けられなかった場合、投じた資金の一部返還を求められる可能性があるという。
スイス代表チームのディレクター、ピエルルイジ・タミはこの一件についてこう語っている。
「我々は選手を失ってきたし、これからも失うだろう。ただ、契約に署名した以上はそれを尊重すべきだと思う」
実際、アルビアン・ハイダリとレオン・アヴドゥラフ(ともにホッフェンハイム)という2人の二重国籍選手が最近コソボ代表を選んでスイスを離れた前例があり、Footuroの一員だったハイダリのケースを機に、協会側は返還条項により厳格な姿勢を取るようになったとされる。
ロマーノ自身は騒動の火種を早々に消そうとしている。国外メディアに対し、今回の決断は決してスイスに対するものではなく、あくまで自身のルーツと野心に基づくスポーツ上、個人的な選択だと説明した。
皮肉なのは、現在のスイス代表のヤキン監督自身もかつて同じ岐路に立たされた“セコンド”(スイスで生まれ育った移民2世)だったという点だ。1990年代、兄ハカン・ヤキンとともにトルコから誘いを受けながらもスイスへの忠誠を貫いたヤキン兄弟の先例が、のちにシャキリやジャカ、エンボロといった2世世代の代表定着への道を切り開いたとされる。その本人が今、若き才能を国外に見送る側に回っている。
現状・注目ポイント
ロマーノはペッシーナ、ギラルディ、カヨーデ、クアディオ、ドゥンビア、セバスティアーノ・エスポジト、ヴェルガーラ、ゾマとともに、マンチーニ新体制の初招集メンバー9人の新顔の1人に名を連ねた。
前日までの情報では、ロマーノはディフェンスラインの前でゲームを組み立てるレジスタとして、バレッラ、トナーリを両脇に置いたスタメン起用が有力視されている。セリエAでの出場経験がまだ数試合しかない20歳にとって、これは異例の大抜擢と言える。
その急成長ぶりはビッグクラブの目にも留まっている。契約延長を巡る状況が定まらないハカン・チャルハノールを抱えるインテルは、将来の後継候補として早くからロマーノの動向を注視しているとされ、ユヴェントス、ミランも成長を追いかけているという。
いま大注目のロマーノは、アッズーリ復権のカギを握る存在になれるだろうか。今後の成長に注目だ。
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