マッシモ・オッド以来の20得点関与。キヴが解いた「スタミナの呪縛」と反骨の精神
「今季のMVPをいま決めるなら、得点王でもなくトレクァルティスタでもない。まるで、アリアンナ・フォンターナが氷上を滑るかのように全速力でサイドを疾走するサイドバックだ」——。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は、ジェノア戦で鮮やかなボレーシュートを突き刺したフェデリコ・ディマルコへ、最大級の賛辞を贈った。
同紙が引き合いに出したのは、ジェノア戦に招待されてスタンドで観戦していた、5度の五輪で11個のメダルを獲得した女子スピードスケートの英雄。ミラノ・コルティナ五輪の閉幕の後、サン・シーロのピッチをリンクに見立てたその表現は、今のディマルコがいかに圧倒的で、美しく、そして誰にも止められない存在であるかを端的に表している。
「世界最高」の称号と、レジェンドが唸る“キヴの魔法”
この左足の魔術師に魅了されているのは、メディアだけではない。インテルのレジェンド、ジュゼッペ・ベルゴミもその一人だ。
「クロス、シュート、アシストの能力を見れば、現在の彼は間違いなく世界で最も偉大な選手の一人だ」。そう断言するベルゴミは、ディマルコが今季これほどの飛躍を遂げた背景に、クリスティアン・キヴ監督の“魔法”とも言えるマネジメントがあると分析する。
例えば、コッパ・イタリアのトリノ戦。キヴ監督はディマルコを遠征メンバーにすら入れず、完全休養を命じた。「監督が彼を最も重要な選手と見なし、的確に休ませているからこそ、彼は90分間フルに走り切り、決定的な仕事ができる」とベルゴミは『ガゼッタ』のインタビューで語った。
交代要員から「絶対的アンタッチャブル」への脱皮
各メディアもこの変化を見逃していない。『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙は、キヴ監督が「彼の正しい琴線に触れた」と評価している。
シモーネ・インザーギ政権下でのディマルコは、確かに素晴らしい輝きを放ちながらも、試合終盤にはスタミナが切れ、ベンチへ下がるのが“お決まり”となっていた。
しかし今季は違う。最後までピッチに立ち続け、試合を決める一撃を放つ。インザーギ時代からの見事な脱皮により、彼は好プレーヤーから、チームの勝敗を左右するアンタッチャブルな存在へと昇華した。
「記録はタイトルをもたらしてこそ」
ジェノア戦のスーパーゴールで文句なしのマン・オブ・ザ・マッチ(MVP)に輝いたディマルコだが、試合後のインタビューで浮かれる素振りは一切なかった。
「努力は常に報われる。でも、もし自分のゴールがタイトルをもたらすなら最高だけど、それ自体が目的になってしまったら意味がない」
昨季、あと一歩のところでビッグタイトルを逃した悔しさ。ベルゴミが指摘する通り、その痛烈な経験が現在の彼に「反骨心」と「リベンジの精神」を植え付けている。
個人の華々しいスタッツよりも、チームの勝利とスクデットだけを渇望する。そのストイックな姿勢こそが、彼をさらなる高みへと押し上げている。
20得点関与の衝撃
個人の記録に興味はないと語るディマルコだが、彼が残している数字は歴史的な領域に突入している。
ジェノア戦のゴールにより、今季の公式戦全試合における得点関与数は「6ゴール14アシスト」、実に計20得点に達した。『Opta』の集計によると2004/05シーズン以降、単一シーズンで20得点に関与したディフェンダー登録選手は、マッシモ・オッド(2005/06シーズン、7ゴール13アシスト)しかいない。
約20年ぶりとなる2人目の歴史的快挙。それでもディマルコは立ち止まらない。「ここから最後まで、すべての勝利が重みを持つ」。
インテルの背番号32は、ただ一つの目標に向かって、今日も左サイドを全速力で駆け抜ける。
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