アッズーリに欠けているものを持った期待の男
イタリア代表は3月から始まるEURO2024予選に向けてマテオ・レテギを招集した。イタリアでのプレー経験がないFWは、どんな選手なのだろうか。サプライズ招集で話題を呼んでいるレテギのキャリアや生い立ち、その特徴を紹介する。
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プロフィール
マテオ・レテギ(Mateo Retegui)
生年月日:1999年4月29日(23歳)
国籍:アルゼンチン / イタリア
ポジション:FW
身長:186cm
これまでのキャリア
マテオ・レテギはアルゼンチン・ブエノスアイレス出身。ボカ・ジュニアーズの下部組織で育ち、エストゥディアンテス、タジェレスへのレンタルを経験して、現在はティグレにレンタルされている。
そのキャリアでアルゼンチンを出たことはないが、イタリア代表に招集できたのは、母方の祖父がシチリア州アグリジェントのカニカッティという街の出身のため。イタリア人の血を引いており、アルゼンチン代表歴がないため、アッズーリの一員になることができた。
レテギは現在23歳。エストゥディアンテスで過ごした2019/20シーズンは29試合で5ゴール、タジェレスで過ごした2020/21シーズンは61試合で7ゴールだったが、2022年はティグレで公式戦50試合に出て29ゴールとブレークを果たした。前半戦は27試合で19ゴールを挙げて得点王になっている。
3/24追記
レテギは3月23日のイングランド代表戦に先発で出場し、イタリア代表デビュー。前半はほとんど見せ場がなかったものの、2点ビハインドで迎えた56分にロレンツォ・ペッレグリーニのパスを受けてゴールを記録し、イタリア代表初ゴールを記録した。試合は1-2でイタリア代表が敗戦。
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プレースタイル
186cmの長身FWであるレテギ。体重はメディアによってバラツキがあるものの、80kg〜82kgと紹介されることが多い。いずれにしても、フィジカルの強さが売りの一つだ。
ロベルト・マンチーニ監督はレテギの招集について、「我々に欠けている特長の持ち主」とコメント。現在のアッズーリにはないフィジカルの強さをもたらしてくれそうだ。特にジャンルカ・スカマッカがウェストハムで調子を上げられていない現状では、なおさら期待したくなるプロフィールだ。
このポジションではアンドレア・ピナモンティやモイーズ・ケーンも期待されていたが、前者は今季4ゴールと一皮むけられず。後者は精神的にまだ改善すべきところがあることは明白で、“外部”から選手を迎えることになった。
フィジカルがストロングポイントのレテギだが、ゴール前で待ち構えるタイプのセンターフォワードではなく、積極的にボールを持つタイプ。軽やかなボールタッチで自ら相手DFをかわすのは好きなようで、テクニックにも自信を持っている様子だ。
なぜレテギはアルゼンチン代表ではなかったのか
アルゼンチンでブレーク中のレテギ。もう少し待てば、アルゼンチン代表から声がかかっても不思議でないようにも見える。実際、マンチーニ監督は「彼は応じないと思ったが、おもいのほかすぐにイエスと返答があった。だから招集した」と語っている。生まれも育ちもアルゼンチンのレテギがアッズーリのユニフォームを着ることは、周囲から見れば意外だ。
レテギの本心は本人にしか分からない。レテギが本音を話す日がくれば、この記事を更新する予定。『PokerStarsNews.it』は、がレテギの心情を想像した記事を掲載しており、この記事が指摘するような葛藤があっても不思議ではない。
マメ知識
- 父カルロスさんはホッケーの元アルゼンチン代表プレーヤーで、愛称は「エル・チャパ」。1996年から3大会続けてオリンピックに出場した。その後、男女の同国代表監督を担当。2016年は男子チームを率いて金メダル獲得。2020年東京五輪では女子が銀メダルを獲得しており、そのチームには監督の娘でありマテオ・レテギの姉であるミカエラ・レテギも含まれている。
- 母のマリア・デ・ラ・パス・グランドリさんも元ホッケー選手。
- レテギはボカ・ジュニアーズ入団当時はMF。そのときの技術が現在のボールさばきの礎を築いたのかもしれない。
- 「幼少期の憧れはクリスティアン・ヴィエリ。今はラウタロ・マルティネス。ズラタン・イブラヒモビッチも」(父親談)