審判団の音声も公開
セリエA第13節のミラン対ラツィオのジャッジについて、『DAZNイタリア』の番組で審判団の音声が公開された。また、ジャンルカ・ロッキ審判委員長が、この判定についてコメントしている。
●ミラン対ラツィオの判定は妥当だったのか 審判連盟はVAR担当を問題視
●議論を呼んだジャッジの詳細
ロッキは、ラツィオにPKが与えられなかったというジャッジは正しかったと強調した上で、審判団にミスがあったことを認めている。特に問題があったのは主審のジュゼッペ・コッルではなく、VAR担当のアレアンドロ・ディ・パオロの対応だったと指摘した。
「PKはなかった。そこに疑いはない。ただ、15秒の確認で事足りるシーンだった。そこにPKに相当するファウルはなかったからだ」
「驚いたのは、VARがすぐにそちらの方向に進んだことだ。彼らの頭に何が浮かんだのかは分からない。もしかしたら、私の伝え方が悪いのかもしれない。オンフィールドレビューは積極的にやるべきだと言っているが、それはちょっとでも疑いがあればすぐにモニターへ行けという意味ではない」
「話を戻すと、あれはPKではない。ただ、守備側のファウルもなかった。そのままCKで再開すべきだった。ラツィオの怒りも納得できる。PKでなくても、CKで再開していたら、まだ納得してもらえただろう」
「ハンドに値するかのジャッジは明白で、異論を挟む余地がない。距離は30cmで、選手は相手と競り合う中でのことだ。納得できないのは、“シュートが枠に飛んでいるかどうか”が議論されることだ。ルール上、シュートがゴールに向かっていたらPK、そうでなかったらPKじゃない、なんてことは書いてない。PKか、そうじゃないかだけだ。よって、最善のジャッジはCKで再開だった」
その上で、オンフィールドレビュー前に審判へ詰め寄ったマッシミリアーノ・アッレグリ監督の退席処分については、妥当とした。
「改めて強調したいのは、審判がモニターを見に行くときは、最良の状態で判定を下すための環境を整えてあげるべきだということだ。モニターへ行くときに圧力をかけてしまうと、もう健全なシステムではなくなってしまう」
「退席は妥当だが、私は監督たちを退席させたくない。監督たちには、判定の難しさを理解し、審判の決定を待ってもらいたい。審判が落ち着いていなければ、正しい判断はできなくなってしまうからだ」
主審とVARルームのやりとり
番組内でVARとコッル主審の会話が公開された。
VAR「ハンドの可能性がある。時間をくれ、いま見直している。誰に当たったかを確認させて。うん、腕が上がっている。枠に飛んでいれば罰せられる可能性があるが、その腕はかなり体にくっついているように見える……いや、少し広がっている。そして、ボールはそっちに向かっている。つまり、ハンドの可能性があるからチェックが必要だ。肘を少し広げて動かしている。PKの可能性があるのでオンフィールドレビューを勧める」
コッル「(ミランのベンチに向かって)こういうやり方では確認できない。ミステル、全員向こうへ」
アッレグリ「君が審判のときはいつもこうだ」
コッルがレッドカードを提示。
コッル「まだ確認中だ。ロマニョーリ、自分のベンチに戻ってくれないか? 全員座って。ベンチに戻ってくれ。確認する必要があるんだ。座って」
コッルがモニターに到着。
VAR「映像を見せる」
コッル「肘でブロックしにいっているが……、ちょっと待って。その前にマルシッチが引っ張ってファウルをしている」
VAR「プレー全体の流れを見せるよ」
コッル「マルシッチがハンドの前に引っ張っている。マルシッチが引っ張るタイミングも見せてくれ」
VAR「マルシッチを見る?」
コッル「OK。ユニフォームを引っ張っている。ディフェンス側のファウルで笛を吹く」
VAR「それは君の判断だ」
コッル「ハンドがあったことも説明するが、その前にファウルがあったと伝える」
VAR「彼が前にいたようにも見えるが、とにかくそれは君の判断だ」
サッリ「1つ提案したい」
ラツィオはミラン戦後にかん口令を敷いていた。2日にはマウリツィオ・サッリ監督が『スポルトメディアセット』のインタビューに応じ、このジャッジに言及した。
「全てリセットして、次の試合に集中すべきだ。審判のせいにして言い訳を探している場合ではない」
「それよりも、1つ提案したい。VARのモニターは、ベンチと反対側にしたらどうだろうか。審判は、今回我々が目の当たりにしたような状況ではなく、もっと落ち着いた環境でジャッジすべきだろう」
ラツィオは4日のコッパ・イタリアでミランと再戦する。
「リベンジ? 自分たちの目標のために戦う必要がある。いま必要なのは、ナーバスな試合ではない」
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