カールスルーエ戦でコンバートしたレフティーが魅せる
インテルは今夏、デンゼル・ドゥンフリースをレアル・マドリーへ放出した。その後釜とアタランタのマルコ・パレストラを狙ったが、チェルシーの高額オファーと年俸が跳ね上がり、財政面で折り合えずに撤退。その後、アナン・ハライリの獲得が目前のところまでいったがメディカルチェックをパスできずに破談に終わった。
現在はジェド・スペンスやナウエル・モリーナら複数の候補をリストアップしているとされるが、まだオランダ右サイドの後継者は見つかっていない。
そんな中、アンディ・ディウフが急激に評価を高めている。
内部にあった一つの解決策
昨年夏に加入したディウフは、なかなか適応できずに苦しんだが、いまは状況が異なる。
『ガゼッタ・デロ・スポルト』は特集記事で、かつては放出候補とも見られていたディウフを「マーケットに出すことは考えられない選手」になったと位置づけ、右サイドでの起用がもはや実験ではなく新たな武器になりつつあると伝えている。
合宿初日の会見でキヴ監督は、ディウフについて「彼はジョーカーだ。ウイングバックにするというアイデアがある」と明かし、「ラスト20メートルで勇敢さと闘志を示して試合を変えてきた」「チームに欠けている特性を持っている」と評価した。その上で「彼の確信を奪いたくはないが、新しい役割でもプレーしてもらう必要がある」とも語った。
実際、右サイドでの起用は今プレシーズンに始まった話ではない。ディウフは昨季終盤にもすでに右ウイングバックとして起用されており、本人も「昨季は良い形で終えることができたし、このまま継続したい。ボローニャとの最終戦もうまくいって、ゴールも決めることができた」と振り返っている。
アディショナルタイムの2発
インテルは26日、ドイツ合宿の締めくくりとして、カールスルーエとプレシーズンマッチを行った。この試合は、途中投入のディウフの独壇場になった。
インテルは後半早々に失点し、1点を追う展開となっていた。
しかし、アディショナルタイムにディウフがCKのこぼれ球をペナルティエリア外から左足でボレーで突き刺して同点弾にした。
その3分後にはアレッサンドロ・バストーニからの対角のパスをペナルティエリア右で受けるとワンタッチで持ち出してから左足でファーサイドネットへ巻き込んだ。
『スポルトメディアセット』は「2つの芸術的なゴール」「ショーを演じた」と伝え、逆転勝利を演出した立役者として大きく扱っている。
本人はコンバートをどう捉えているか
このコンバートについて、ディウフ自身は前向きな姿勢を隠さない。合宿中の『インテルTV』に対するインタビューでは新シーズンへの意気込みを語りつつ、こう述べている。
「これまでも言ってきた通り、自分はただプレーしてチームを助けたいだけ。左でも右でも全力を尽くす」
「本来のポジションは中央で、そこでのプレーが好ましい。でも右サイドでプレーするクオリティも備えているし、ミステルが求める場所でプレーする」
カールスルーエ戦後のフラッシュインタビューでも、「サイドのポジションは僕にとって自然な位置ではないけど、学ぶために取り組んでいる」と語った。「ボールをコントロールした瞬間にすぐゴールを見るようにしている。練習でも同じことを繰り返し、試合でもそれを再現しようとしているだけだ」とも述べており、派手な結果に浮かれることなく「まだ始まりに過ぎない」と冷静に位置づけている点も印象的だ。
キヴが求めたジョーカー
補強の観点で見れば、右WBの獲得の噂は依然として落ち着いていない。
それでも、ディウフの武器がこのまま機能するなら、必要以上に右サイドを不安視する必要はないのかもしれない。キヴ自身が「彼はジョーカーだ」「チームに欠けている特性を持っている」と公言している以上、内部にすでに一つの解が存在しているとも読める。
2025/26シーズンはドゥンフリースの不在時のルイス・エンヒキが代役を務め、ある程度の適応を見せた。とはいえ、カンピオナート30試合出場で1ゴール3アシストと、左サイドに比べると明らかに攻撃の迫力を欠いた。
そこにカットインを武器とするディウフを起用できれば、膠着を打破する切り札になり得る期待はある。
実際、今夏インテルが獲得を狙っていたパレストラにしてもハライリにしても、自ら突破を狙えるタイプのウインガーだったことを考えると、キヴ監督が求めていた「チームに欠けている特性」があることは明白だろう。
2025/26シーズンのセリエA最優秀選手賞を受賞した左サイドのフェデリコ・ディマルコですら、カンピオナート30試合先発出場のうち15試合は途中交代となっていることからも分かるとおり、キヴ監督は試合中にウイングバックを入れ替えることが多い。
そこに、全く違うタイプのディウフを起用できれば、相手にとって厄介な存在になることは想像に難くない。
もちろん、ディウフを通年レギュラーと考えるのは無謀で、これから新戦力がやってくることが予想されるものの、右ウイングバック補強の遅れによりディウフがプレシーズンで好スタートを切ったことは、インテルにとってプラスになる可能性がある。
新戦力の合流を待つ間、ディウフがどこまでこの右サイドを託される存在になれるかに注目が集まりそうだ。

