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ミラノダービーに勝つのは義務じゃない…? 攻撃・守備・戦術に加えてメンタルもおかしかったインテル

シーズン序盤の「気づき」を糧にできるのか

インテルは22日に行われたセリエA第5節のミラン戦を1−2で落とし、ミラノダービー7連勝を逃した。

昨季のリーグ王者であるインテルは、ミッドウィークのUEFAチャンピオンズリーグでマンチェスター・シティと対等に戦い、力のあるチームであることを改めて証明していた。ミランは開幕から不振が続いており、パウロ・フォンセカ監督の解任も噂されている状況で、ミラニスタですらインテルの勝利を予想するような戦前の状況だったにもかかわらず、蓋を開けてみれば、終始ミランが有利に試合を進め、インテルは完敗と言える内容だった。

この敗戦には守備崩壊や攻撃の停滞、戦術的なミスなど、いくつかの要因が絡んでいる。しかし、ここから何を学び、次につなげるかが鍵となる。

ミラノダービーの敗因は?

守備の崩壊:疲労と注意力不足

インテルは終盤のセットプレーで勝ち越しを許して敗れたが、GKヤン・ゾマーの好守がなければ、もっと大差がついていてもおかしくない試合内容だった。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、「守備のほぼ全員の注意力が緩慢だった」と指摘。個人のミスもそうだが、それ以上に選手同士にサポートの意識がなく、集中力が不十分だったと分析している。疲労があったとしても及第点と言える選手は少なく、唯一例外だったのがフェデリコ・ディマルコだと記した。

攻撃の停滞:ThuLaの不発

守備の崩壊だけでなく、インテルは攻撃でも成果を出せなかった。近年のミラノダービーといえば、マルクス・テュラムとラウタロ・マルティネスのコンビ「ThuLa」がミランの脅威になっていたが、この試合では振るわなかった。同紙は「ThuLaはどこへ? 彼らは現実世界に戻ってきた。それがチームにも影響した」とし、攻撃をけん引する2人が平凡なパフォーマンスに終わったことにも触れている。

戦術的な失敗

ミランが急きょ用意した4−4−2(4−2−4)のシステムも、インテルを苦しめた。ミランが前線の4人と2人のMFでインテルの縦パスを封じると、インテルは横方向へのパスばかりとなり、攻め込む一手を入れられなかった。クリスチャン・プリシッチが右サイドから中央に絞っていくとエメルソン・ロイヤルが高い位置をとってスペースをケアし、同時に左サイドバックのテオ・エルナンデスが中央に絞ることでバランスを取り、インテルに隙を与えないよう工夫していた。その結果、ボールを保持しても攻め手が見つからないインテルに対して、ミランが鋭いカウンターで決定機をつくるシーンがたびたびみられている。

イタリア屈指と言われるインテルの中盤は、明らかにコンディションが悪かったのもある。ニコロ・バレッラはコンディションの問題で交代となったほか、ハカン・チャルハノールとヘンリク・ムヒタリャンも本調子ではなく、イエローカードをもらっていたこともあり、中盤で優位に立てなかったことは大きな問題だ。

精神的なおごり

ただ、控えも充実しているはずのインテルは、中盤の3人が全て入れ替わったあとに問題が大きくなった点も重要なポイントだ。ジュゼッペ・ベルゴミは試合後、こう話していた。

「この試合はある時点でインテルは1-1に満足すべきだったと思う。自分たちが苦しんでいること、ミランが調子が良いことに気づかなければならない。試合を読むべきだ。まだ時間はあるが、あの態度を取り戻さない限り、難しくなるだろう」

実際、攻守のバランスが乱れたインテルは、何度もミランに決定機を与えた。その原因は、インテルの慢心にあったと指摘する声は多い。『FcInterNews』は「1-1の同点になった後、インテルが持ち前の組織力を失い、攻守のバランスが崩れ、中盤がフィルターの役割を果たせなくなった」とし、「まるで負けているかのような姿勢で試合を進めた」とインテルの焦りを指摘。その根底には、「7連勝というプレッシャーにより、理性的な判断を超えた無謀な行動を取ってしまった」という心情があったと分析している。

ベルゴミも指摘しているとおり、試合内容を考えれば引き分けで御の字のはずだった。しかし、6連勝中のインテルも、7連勝を信じて疑わないティフォージも、いまのミランには勝って当たり前という意識がどこかにあり、振り返ると「無謀な行動に出た」ようにもみえる。

「一時的なつまずき」にできるのか

敗因は複数あり、どれか一つではない。問題はその原因をしっかり分析することで、繰り返さないことだ。アンドレア・ラノッキアは「インテルの敵はまだインテル自身。この敗戦が逆に良い経験になるかもしれない」と前向きに語った。

シティ戦の好パフォーマンスで忘れられがちだが、インテルはカンピオナート前節のモンツァ戦も褒められる内容ではなかった。ミラノダービーという大舞台で、自分たちの過ちが浮き彫りになったことで、インテルは再び立ち上がるだろう。この失敗をプラスにできるかどうかが、今シーズンの明暗を分けるかもしれない。

【ミラノダービー採点】
●ラウタロ・マルティネス「カピターノとして責任を負う。練習場に一番乗りしてもっと働く」
●ダルミアン「言い訳はしない。シティ戦の反動があったとも思わない」

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