コモ、キングスリーグ参戦へ Zeta Como立ち上げで若年層に接続を目指す

90分を観ない世代へ、セリエAクラブが踏み出す一歩

セリエAで好調のコモ1907は15日、昨年11月に発足したeスポーツチーム「コモ・ゲーミングクラブ」のプロジェクトの一環として、FCゼータ(FC Zeta)とともに、ゼータ・コモ(Zeta Como)を立ち上げたことを発表した。

FCゼータは、2024年5月にZWJacksonの名前で知られる人気YouTuber、アントニオ・ペッレグリーニが創設したクラブで、イタリアの下部カテゴリーに参加している。同年11月にはキングスリーグ・イタリアへの出場が発表されると、元イタリア代表のルカ・トーニを共同プレジデントとして招へい。さらに、クリスティアン・ブロッキを監督に据え、2025年夏にはキングス・ワールドカップ・ネーションズ2025にも出場した。

すでにキングスリーグで一定の実績を持つFCゼータと、セリエAのコモ1907によるコラボレーションが、ここに実現した。

新世代を見据えるコモ

コモ1907は、その名からも分かるとおり1907年に創設された歴史あるクラブで、1960年にはセリエAで6位に入った経験もある。セリエBやセリエCで多くの年月を過ごしてきたが、2019年にインドネシアの大富豪であるハルトノ兄弟がクラブを買収して以降、着実に成果を上げ、セリエCからセリエAまで昇格を果たした。

現在はセスク・ファブレガス監督のもとで大胆でリスクを恐れない攻撃サッカーを展開し、セリエAを盛り上げる新興勢力の一つとなっている。

コモのチーフレベニューオフィサーであるライアン・シェルトンは、「コモは伝統とモダンが交錯する場所として知られており、ゼータ・コモは完全にこの精神と一致している。我々は世代の架け橋を構築するために働いている」とコメントした。

FCゼータの共同プレジデントであるトーニは、「FCゼータはキングスリーグにおいて、サッカーを現代的で魅力的な方法で解釈する術を示してきた。コモ1907はプロサッカーで堅実かつ野心的なプロジェクトを進めている。この2つの世界を行き来させることは、価値を創造し、好奇心を刺激し、フィールドの内外でより多くの人々をサッカーに近づけることを意味する」と語り、今回の提携に意義を見出している。

FCゼータにとっては、エンターテインメントのIPとしてすでに一定の力を持っていたが、100年以上の歴史を持つセリエAクラブであるコモ1907と提携したことで、より本格的に“サッカーの世界”へ踏み込んだと言えるだろう。

世代の架け橋に?

キングスリーグ(Kings League)は、元スペイン代表のジェラール・ピケを中心に、2022年に立ち上げられた7人制サッカーリーグだ。

試合は20分ハーフを基本とし、途中で特殊ルールが発動する「カード」や、1対1のPK対決など、エンターテインメント性の高い要素が盛り込まれている。最大の特徴は、テレビ放送を前提とせず、TwitchやYouTubeといった配信プラットフォームを主戦場としている点にある。

クラブのオーナーや“顔”として、元プロ選手だけでなく人気ストリーマーやインフルエンサーが前面に立つことで、従来のサッカーではリーチしにくかった若年層やデジタル世代を取り込んできた。

日本では、人気ストリーマーの加藤純一さんが率いるムラッシュFCがキングス・ワールドカップ・ネーションズに参加したことで広く知られるようになり、「配信からサッカーに触れる」という新しい入口を提示した。

キングスリーグは、サッカーを土台としながらも、巨大なスタジアムや膨大な放映権収入を前提とせず、90分のフルマッチに依存しない“もう一つのサッカー文化”といえる。

Zeta Comoの挑戦

スタジアムに足を運ばず、90分の試合を観ようとしない世代の存在は、サッカーの未来を考えるうえで大きな課題の一つだ。その世代と深くつながるインフルエンサーやエンターテインメントの文脈は、従来とは異なる新たな入口となり得る。

コモ1907は、Zeta Comoという形で「もう一つのサッカーへの扉」を用意した。

この試みが成功すれば、コモは他の伝統あるクラブにも引けを取らない新たなファン層を獲得できるかもしれない。そして同時に、この道を模索する別のクラブが現れる可能性もある。

コモの新しいコラボレーションが、どのような成果をもたらすのかに注目したい。

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