選手採点と試合後のコメントも
6日に行われた2024/25 UEFAネーションズリーグのリーグAグループ2第1節、フランス代表対イタリア代表は、3−1でアウェーのイタリア代表が勝利を収めた。開始14秒で失点するショッキングなスタートとなったが、その後フェデリコ・ディマルコ、ダヴィデ・フラッテージ、ジャコモ・ラスパドーリの得点で逆転に成功。最高のスタートを切った。
試合内容
EUROでの失望からの復活が望まれるイタリアは、3−5−2と予想されていたが、ロレンツォ・ペッレグリーニを先発で起用して3−5−1−1でスタートした。開始直後、ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォのミスで自陣でボールをかっさらわれると、そのままブラッドリー・バルコラに得点を許した。14秒での失点はイタリアにとって史上最速での失点だ。
しかし、その後次第に落ち着きを取り戻し、アンドレア・カンビアーゾやフラッテージが惜しいシュートを放ち、同点弾に迫った。そして、31分に待望の瞬間が訪れる。ディマルコがサンドロ・トナーリとのワンツーで抜け出して、ペナルティーエリア左から強烈な左足のボレーを叩き込んだ。
良いリズムが続いたイタリアは、後半の立ち上がりに逆転する。マテオ・レテギとフラッテージの守備で高い位置でボール奪取に成功すると、鋭いショートカウンターが発動。レテギの折り返しにフラッテージが飛び込んで2−1とした。73分にはカンビアーゾのサイドチェンジを受けたデスティニー・ウドジエがドリブルでカットイン、後ろから飛び出してきたラスパドーリがパスを受けて抜け出し、3点目を決めた。
得点を目指すフランスが前がかりになるものの、この日のイタリアは落ち着いた守りを続け、キリアン・エムバペが好機を迎えることはなく、ジャンルイジ・ドンナルンマの出番はほぼなし。ルチアーノ・スパレッティ監督は80分にマルコ・ブレッシャニーニを投入して代表デビューをさせ、3−1で勝利を収めている。
イタリア代表のスタメン
試合後コメント
ルチアーノ・スパレッティ(イタリア代表監督)
「代表監督を引き受けたとき、強いチームをつくるつもりだった。1、2試合負けたからといってその考えは変わらない。我々には優秀な選手が20人いて、フランスのようなトップクラスのチーム相手にも力を示すことができる。そして、いつも同じことだが、この世界で自分の心を壊すものは何もない。あの形で失点すれば狂気に陥ることもあるが、選手たちは試合に集中し続けた。ゴール以外でも重要なことをやり遂げた。多くのパスミスがあったが、今夜は我々も相手に劣らない巨人だった」
「リッチとトナーリはレベルの高い選手だということを示した。トナーリについてはすでに知られていたが、リッチはトリノのときは違うポジションでプレーしていたにもかかわらず、全く怯むことなく国際レベルで通用する価値を示した」
「私はいつも同じ気持ちだ。たくさんの経験を積んできたし、1〜2試合で揺らぐことはない。何が起こったのか、その原因を理解し、同じ過ちを繰り返さないために常に集中している。イタリアの人々に失望を与えたことが苦しかった。今夜はみんなが少しでも元気を取り戻したことがうれしい。我々には可能性があることが見えた。謙虚に、そして地道に進んでいく必要がある」(試合後の会見から)
フェデリコ・ディマルコ
「EUROから立ち直るのは簡単じゃなかったけど、素晴らしい試合ができた。チームの士気を上げるには、こういう勝利が必要だったんだ。フランス相手だと、何かを譲ることは仕方ない部分もあるけど、ゴールもプレーも満足している。それが一番大事なことだね」
「大きな意味がある勝利だね。フランスに勝つのはいつだって簡単じゃない。相手のホームでは尚更ね。僕たちはこの調子で続けていかないといけない」(『Rai』)
ダヴィデ・フラッテージ
「立ち上がりはうまくいかなかったけど、僕たちはしっかり巻き返すことができた。この気持ちとこの激しさを持ってまた始めなきゃいけないね。途中から出場した選手たちも本当に素晴らしいプレーをしたよ」
「調子は良い。今は試合を重ねるごとに少しずつコンディションが上がってきている感じかな。徐々に100%の状態に持っていけたらいいなと思っている」(『Rai』)
フラッテージを称えるアンドレア・ストラマッチョーニ
「半分は冗談だが、彼にとって幸運なことに、インテルには目の前にニコロ・バレッラとヘンリク・ムヒタリャンという素晴らしい選手がいる。これはインテルにとっても幸運なことだ。ただ、フラッテージは常に貢献していて、時には激しさも見せています。インテルでは試合の流れを変える存在となり、今夜もその力を発揮した。断言する。彼はヨーロッパで(ゴールまでの)最後の16メートルを攻める上で、最も強力なMFの一人だ」
ジャコモ・ラスパドーリ
「素晴らしい勝利だね。こういう強いチームに勝てるときは、ポジティブな要素がたくさんあったってことさ。僕たちは巻き返す必要があって、その意志が見えたと思う。時々、相手が質の高い選手を持っているから守りに回る時間もあったけど、試合で求められたことをやり遂げた」
「このポジションは僕の特徴に一番合っていて、攻守の切り替えがうまくできる。後ろから攻撃に参加して、エリア内に入り込むこともできる。この役割では自分の能力を最大限に発揮できるんだ」(『Rai』)
マルコ・ブレッシャニーニ
「デビュー戦を勝利で飾ることを夢見ていたけど、それが叶ったね。それも相手がフランスで、本当に感動的な夜だった。この成功が、今後に向けて良い後押しになればいいね。試合開始直後にいきなり失点すると、巻き返すのは簡単じゃないけど、僕たちはやり遂げた。それはチーム全員の功績だ。スパレッティ監督が僕たちに落ち着きと自信を与えてくれて、それが勝利のカギだったと思う。このメンタリティを維持しなきゃいけない。個々の質のおかげでチーム全体が勝利を手にしたんだ。僕たちは常に試合に集中し、ミステルの指示に従い続けたよ」(『Rai』)
サムエレ・リッチ
「こうやって続けていかないといけない、ステップ・バイ・ステップで、一試合一試合考えながらね。僕自身、もっと良くできるし、特に今日犯したミスを減らせるはずだ」
「フランスは僕たちよりもスピードや突破力があり、特にサイドのフィジカルが強い。でも僕たちは、劣っていると思わなくていいんだ。長年、主要なリーグでプレーしている相手に対しても、十分に戦えることを証明できた。今大事なのは、今日やったことを継続することだね」
「このチームで一番気に入っているのは、質の高い選手がたくさんいて、同じ試合中でも複数のポジションをこなせることなんだ。この柔軟性が、僕たちの道を切り開いてくれるはずさ」(『Rai』)
ディディエ・デシャン(フランス代表監督)
「イタリアは低いブロックを形成していて、それが彼らのストロングの一つだった。我々は彼らにとってのコンフォートゾーンでやってしまったが、我々の狙いは徐々に不安定になってしまった」
イタリア代表選手採点(『TMW』)
ジャンルイジ・ドンナルンマ
- 採点: 6 – 早々に失点するが、彼には責任はない。その後はほとんど試合に関与しなかった。
ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ
- 採点: 5 – 試合開始早々にカンビアーゾのパスに対処できず、バルコラにゴールを許してしまう。その後仲間たちに助けられつつ対処したが不十分。
アレッサンドロ・バストーニ
- 採点: 7.5 – エムバペを抑えるという難しいタスクを見事にこなした。
リッカルド・カラフィオーリ
- 採点: 7 – ドイツ戦での好調を維持し、パルク・デ・プランスでも安定した守備を見せた。攻撃にも貢献し、賢明なプレーでチームに貢献。
(→71分)アレッサンドロ・ボンジョルノ
- 採点: 6 – 終盤にフランスが押し込む中、冷静に対応。
アンドレア・カンビアーゾ
- 採点: 6.5 – 同点ゴールの起点となる。テオ・エルナンデス相手に苦戦したが、彼の攻撃を抑えることに成功した。
ダヴィデ・フラッテージ
- 採点: 7.5 – 試合開始直後に惜しいシュートを放つ。後半開始早々に逆転ゴールを決めた。スパレッティ監督下で15試合で5ゴールと、この1年でイタリアのエースとなっている。
(→62分)デスティニー・ウドジエ
- 採点: 6.5 – 本職ではないポジションでもしっかり対応し、アシストを記録。
サムエレ・リッチ
- 採点: 7.5 – 初先発ながら堂々たるパフォーマンスを披露。フィジカルと知性を備え、ベテランのようなプレーを見せた。
サンドロ・トナーリ
- 採点: 8 – チームに欠かせない存在で、国際舞台でも輝きを放つ。試合のリズムに乗ると、どこにでも顔を出し、ディマルコの同点ゴールをアシスト。後半は圧倒的なパフォーマンスを見せた。
フェデリコ・ディマルコ
- 採点: 7.5 – トナーリの見事なヒールパスから、素晴らしいボレーで同点弾を決めた。
(→80分)マルコ・ブレシャニーニ
- 採点なし
ロレンツォ・ペッレグリーニ
- 採点: 6 – サプライズでの先発起用も、中盤でしっかりと守備をこなしつつも、攻撃面での貢献は少なかった。スピードが上がるとプレーに精彩を欠く。
(→46分)ジャコモ・ラスパドーリ
- 採点: 7.5 – 試合にすぐに影響を与え、逆転ゴールを演出。さらに3点目を自ら決め、試合の流れを完全に掌握した。
マテオ・レテギ
- 採点: 7 – 謙虚かつ献身的なプレーで、孤立してもプレスをかけ続けた。ボールを持つ場面は少なかったが、効果的に処理し、後半にはフラッテージのゴールをアシストした。
(→80分)モイーズ・ケーン
- 採点なし
ルチアーノ・スパレッティ監督
- 採点: 7.5 – 冷静な采配で、試合を巧みにコントロールした。守備面の修正や選手交代が的確で、チームに大きな成果をもたらした。