ミラン、来季の最前線はケーンに託す? 補強は即戦力中心か

停滞する攻撃陣の刷新とエースの去就、補強失敗の教訓をどう活かすか

今季のミランは、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の下で守備の再建には成功したものの、攻撃陣の不振や新戦力の適応問題など、いくつかの課題に直面している。

ラツィオ戦での敗北によりスクデットの可能性は遠のき、当初の予定通り、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権の獲得へと目標が切り替わったといえる。ミラニスタの関心は早くも夏の移籍市場へと向いている。最新の報道をもとに、ミランの夏の展望を紐解いていく。

攻撃陣の停滞と新たなストライカーの必要性

今季のミランにおける最大の課題は、攻撃陣の沈黙である。アッレグリ監督の就任により守備陣は劇的な進化を遂げ、宿敵インテル相手にシーズンダブルを達成するなど確かな結果を残した。しかし、自陣に引いてカウンターを狙う戦術の弊害か、引いた相手を崩すアイデアに乏しく、アッレグリもラツィオ戦後に「アタッキングサードでの技術的なミスが多すぎた」と苦言を呈している。

最前線の補強は急務であり、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のルカ・ビアンキン記者は『MilanNews』に対するインタビューで、質の高いセンターフォワードの獲得が必要であると指摘する。

具体的なターゲットとして、フィオレンティーナのモイーズ・ケーンが有力視されている。ケーンはアッレグリからの評価も高く、シュトゥットガルトのセール・ギラシに比べて金銭面でも獲得の現実味があるという。

ほかにもドゥシャン・ブラホビッチ、マテオ・レテギ、さらにはロベルト・レヴァンドフスキといった大物の名前も取り沙汰されているが、現時点ではケーンが最も現実的な選択肢と考えられている。

ラファエル・レオンの進退

攻撃陣の再編において、最大の焦点となるのが背番号10を背負うラファエル・レオンの去就だ。

レオンはラツィオ戦の交代時に苛立ちを見せ、試合後にはロッカールームでクリスティアン・プリシッチからのパス供給について不満を訴えたとされる。マッテオ・モレット記者によれば、レオンは自らの振る舞いが過剰であったことを認め、すでにフロントやチームメートに謝罪しており、事態は沈静化しているという。

ただ、進退問題は別だという見方がある。

クラブはレオンと交わしている2028年までの契約の更新を目指しているが、ピッチ上でのパフォーマンスは停滞気味であり、周囲の環境やフィジカル面の問題も指摘されている。

ビアンキン記者は、8000万ユーロ程度のオファーが届けば、ミランは売却を検討するだろうとの見解を示した。

サウジアラビアのクラブやバルセロナからの関心も噂されており、市場価値に見合うオファーがあれば、選手自身の環境を変える意味でも移籍が成立する可能性がある。

7000万ユーロの投資は不発に

夏の移籍市場を考える上で避けて通れないのが、昨年夏に総額7000万ユーロ以上を投じて獲得したアルドン・ヤシャリとクリストファー・エンクンクの不振である。

ヤシャリはプレシーズンへの合流遅れや9月の負傷という不運もあったが、最大の要因は戦術的な不適合だ。レジスタなのかインサイドハーフなのかという役割が定まらず、継続的な活躍ができていない。ルカ・モドリッチやアドリアン・ラビオが良い状態だとしても、そろそろ存在感を発揮したい。

一方のエンクンクも、最前線のセンターフォワードとして起用される中で適性に疑問符がつけられており、高額な移籍金に見合う結果を残せていない。指揮官は落ち着きを求めているものの、これらの高額投資が現状で期待外れに終わっている事実は、今後の補強戦略に見直しを迫る要因となっている。

アッレグリが求める「即戦力」と大型補強の条件

補強の反省を活かし、アッレグリはCL参戦も視野に、来季に向けて明確な要望を出している。

『コッリエレ・デッラ・セーラ』の報道によれば、指揮官はアドリアン・ラビオのような「フィジカルが完成された、すぐに計算できる即戦力」を4人求めているという。若手のポテンシャルに賭けるのではなく、国内外で実績のある実力者の獲得を優先し、レギュラークラスの基準そのものを引き上げる構えだ。

以前の報道では、クラブはCL出場による増収を見込み、今夏の予算を1億ユーロ超に設定してキム・ミンジェやレオン・ゴレツカらビッグネームをリストアップしているとも伝えられていた。これらの大型補強を実現するためにも、残りのシーズンでCL出場権を確実なものにすることが大前提となる。

アッレグリ体制で守備の安定は評価されているが、攻撃面ではシステムを変更しても打開策が見出せず、経験豊富な指揮官をもってしても適切な解が見つかっていない。アントニオ・カッサーノが指摘し続けている「守備を固めて攻撃は運任せ」という前時代的なカルチョからの脱却が課題だ。

ミランの夏は、適応に苦しむ選手の処遇、レオンの去就判断、そしてアッレグリの求める即戦力の確保という、非常に複雑で重要なミッションとなる。来季の覇権奪還に向け、フルラーニCEOやイグリ・ターレSDらフロント陣の立ち回りを注視したい。

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