インテル戦を控えて、まだ揺れる名門
ミランは26日のセリエAでパルマに劇的逆転勝利を収めた。しかし、勝利の喜びも束の間、チーム状況を懸念する声が後を絶たない。
ミランは、後半アディショナルタイムの2得点で勝ち点3を手にした。一見すると勢いに乗れそうな勝ち方だが、試合終了後にはダヴィデ・カラブリアとセルジオ・コンセイソン監督がピッチ上でケンカを始め、スタッフが割って入る事態となった。
試合後のインタビューで両者はそれぞれ「解決した」「問題はない」と話していたが、ミランが本来あるべき精神状態にないという見方もある。
カラブリアのイライラ
『コッリエレ・デッロ・スポルト』は27日、カラブリアの苛立ちの原因を分析した。
カラブリアは試合終盤にルカ・ヨビッチと交代を命じられた。普段出番が少ない同選手は、エメルソン・ロイヤルの負傷で先発出場の機会を得たが、カイル・ウォーカーの加入で今後レギュラーポジションを失うことが予想されている。
さらに、ミランの生え抜きとしてカピターノを務めていたが、先発したこの試合でもGKマイク・メニャンがキャプテンマークを巻いていた。
カラブリアはミランとの契約が今季で満了予定で、延長交渉は数カ月前から止まったまま。精神的にナーバスだったことが想像されている。
余裕がないコンセイソン
『スカイ』のパオロ・アッソーニャ記者は、セルジオ・コンセイソン監督の反応を非難した。
「ミランの歴史を考えたとき、こういったのは残念だ。両者に非があるが、特にコンセイソンは一度、10を数えて冷静になるべきだった。待つ時間は十分にあったはずで、ロッカールームの中でどうにかすべきことだった」
監督や選手以上に、クラブの問題?
リッカルド・トレヴィザーニ記者は、『スポルトメディアセット』でミラン全体に落ち着きがないと指摘した。
「また逆転勝ちだ。試合に勝ったというより、精神力でなんとかした感じがする。問題は続いている。守備のミスが多いし、前線にストライカーがいないのも相変わらずだ」
「コンセイソンはフォンセカと同じように、いろいろなことをしている。サッカーでは衝突がたびたび起こるもので、カラブリアが交代に苛立ったのも分かるが、話し合いで済むラインを越えてしまった」
「いまのミランはひとつのサイクルの終わりのような雰囲気がある。最近の成績のせいか、全体的に落ち着きがない。選手や監督というより、クラブ全体で何かが足りない感じだ」
『スカイ』のマウリツィオ・コンパニョーニ記者も、クラブ全体に問題があるとみている。
「これまでにも監督と選手たちで軋轢があった。フォンセカのときからそうだったが、コンセイソンになってもそれは変わっていない。それが深刻な問題だ。もし、クラブの土台がしっかりしていれば、こんなピリピリした状態にはなっていない。ミランはこの試合に勝って4位争いに踏みとどまったが、決して順調とはいえない」
雨降って地固まる…、のか
ミランは29日にUEFAチャンピオンズリーグでディナモ・ザグレブと対戦したあと、週末のセリエAではインテルとのミラノダービーを控えている。
セルジオ・コンセイソン監督の就任後、スーペルコッパ・イタリアーナ優勝など良い瞬間もあるミランはそろそろ落ち着きたいが、インテルとの大一番で本当のきっかけをつかめるだろうか。