シーズン序盤のデータが示す真実
『カルチョ・ダタート』が、セリエA第12節終了時点で各クラブのパフォーマンスに言及した。同メディアは、各クラブのさまざまなパフォーマンスデータを点数化し、ここまでの試合内容を分析。その上で、昨季のデータと比較して紹介している。
ステファノ・ピオリ体制からパウロ・フォンセカ体制に移行したミランは、速攻型からポゼッション型に、マンマークからゾーンに土台が変わり、データ的にも激動の序盤戦だった。特に大きな違いがあったのは、どんな項目だろうか。
ボールロスト後は改善傾向
攻撃も守備も大きな変化があったミランは、昨季と比較しても意味がない。シーズン初期は、シーズン初期は、守備を強調しつつも、全体が連動して動けず強度のあるプレーができていなかった。
まず同メディアは、ボールロスト後の対応が不十分だったことを指摘した。ボールロスト後10秒間の被xGを各試合ごとにグラフ化。これを見ると、第2節のパルマ戦(0.28)と第3節のラツィオ戦(0.30)でかなりピンチが多かったことが分かる。その後、しばらく落ち着いたあとで一度ラツィオ戦に近い数値が出ているが、ナポリ戦だったことを考えれば、第4節以降はロスト後の対応に改善が見られると判断できる。
『カルチョ・ダタート』は、トランジション時の守備の問題は概ね解決したとしつつも、現在のミランは相手が左右の揺さぶりをつかってスライドしてきたときに守備にほころびが生じるところに改善の余地があるとした。
攻撃は進化中
フォンセカ監督のもとで攻撃力は高くなっている。今季ここまでのxGは1.63で、2017/18以降最高を記録している。
特に敵陣のエリア付近でプレーしている時間が長いことは注目に値する。ファイナルサードでのボール保持率が高いことに加えて、『エリア侵入』の数値も92と優れている。
これは一見すると連動する数字にも思われるが、敵陣深くでボールを持っている時間が長いと相手に後方を固められることもあるため、「エリア侵入」の割合が低くなるチームもある。その例がインテルで、昨季の73から30に低下している。
後方からのビルドアップが武器
ミランの明確な武器となっているのが、攻撃の起点として機能するディフェンシブサードからのアクションだ。今季セリエAにおける後方からのビルドアップ時のxGが0.46でトップとなっている。2位のパルマが0.36、3位のユヴェントスが0.32で、ミランがダントツだ。
具体的には、マイク・メニャンがボールを持ったときの攻撃が特徴的だ。アルバロ・モラタやフランチェスコ・カマルダがボールを引き出す動きをすることで、守護神がチャンスに直結するパスを出している。
また、カリアリ戦では新たな連係も見られた。タイアニ・ラインデルスが相手を引き連れて動いたことでできたコースにラファエル・レオンが入って受け、そこから攻撃のスイッチを入れている。
このような攻撃の連動性が高まっていることは、ミラニスタたちにとってポジティブなことだろう。