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「ミランは本当に要らなかったのか」。なぜカルル放出でエメルソン・ロイヤルだったのか

ユヴェントスで大活躍中

ミランはインテルとのミラノダービーを機に復調傾向で、シーズン序盤の危機は過ぎ去ったように見える。チーム全体がうまくいかない時期を乗り越えたことで本当の問題も見えてきた。ミランファンからは「ピエール・カルルを返してくれ」といった声があがっている。

カルルは今夏の移籍市場でユヴェントスへ売却されたが新天地で大活躍中で、評価を高めているところ。一方のミランは、右サイドバックが“穴”となっており、最も不安なポジションの一つとなっている。

放出の経緯

ミランは今夏、右サイドバックの補強が早くから噂になっていた。カルルがチームの構想に含まれなかったのは、いくつかの理由がある。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、「ミランはカルルを右サイドバックのトップオプションと見ていなかった。むしろセンターバックのオプションと考えていた」としている。センターバックとしてフィカヨ・トモリ、マリック・チャウ、マッテオ・ガッビアがいて、さらにストラヒニャ・パブロビッチの獲得し、5人は過剰と判断された。

カルルのかわりにチャウやダヴィデ・カラブリアを手放す可能性はあったが、カラブリアはミランとの契約が残り1年で、魅力的なオファーがなかったという。また、ガッビアとカラブリアは下部組織で育った選手という点でもクラブにメリットがあった。加えて、カルルはケガによる離脱が多く、2023/24シーズンのカンピオナートはわずか9試合の出場にとどまっていた。シーズンを通して稼働できるかが微妙ということもあり、市場に並べられたとされている。

カルルは当初、ユヴェントス行きを拒んでいた。ただ、パブロビッチ加入が決まったことで、自身のプレー時間が少なくなることを察知し、最終的には移籍を受け入れた。

ミラン復帰はない?

カルルに負傷のリスクが付きまとうことを承知の上で獲得に踏み切ったユヴェントスは、ここまでこの挑戦が完全に当たっている。もともと守備の能力が高く、アグレッシブさもあるカルルは、真面目な性格でも知られており、チアゴ・モッタ監督のスタイルにビタリとハマり、試合に出る度に評価を高めている。

ミランとユヴェントスの間の取引は、レンタル料330万ユーロ、完全移籍時に1400万ユーロ+ボーナス300万ユーロ。『ガゼッタ』などイタリアメディアは、すでにユヴェントスが買い取りを決断したとみており、ミランが取り戻すのは「もう不可能」としている。

ミランからみて、どこまで戦力になるか分からないカルルを手放すことで2000万ユーロの収益が出るのであれば悪くない取引にもみえたが、1500万ユーロを投じて獲得したエメルソン・ロイヤルが高パフォーマンスを見せたのはインテル戦の後半くらいで、ミラニスタが不満に感じるのは当然だろう。

ミランは昨季途中からエメルソン・ロイヤルをチェックしており、この話はパウロ・フォンセカ監督がやってくる前から動き出していた。新指揮官のリクエストでなかったことも、いまのところうまくいっていない一因かもしれない。

カペッロは当初から疑問視

以前からミランのカルル放出に疑問符を付けていたファビオ・カペッロは、最近の『ガゼッタ』のインタビューで「ミランはこんなDFが本当に必要なかったのか? 市場の論理は理解できないことがある。私はピッチ上のパフォーマンスをみたい。カルルはユヴェントスでその実力を証明している」と述べていた。

カルルはUEFAチャンピオンズリーグのライプツィヒ戦で大活躍したあと、「みんな忘れていたかもだけど、僕は自分のクオリティに自信を持ってきた。サッカーの世界にアップダウンは付き物だけど、その中でできるだけアップのところを目指す。そのためにベストを尽くすというだけさ。これからどうなるか分からないけど、予測できないからこそ面白いものだね」と『PrimeVideo』のインタビューで語っていた。

夏の選択を正解にできるか

ミランがカルルを再び迎える可能性は低い。復帰するとしたら、これからユヴェントスで何かがうまくいかず、完全移籍が見送られた場合のみと考えるのが自然だ。そんなカルルの復帰を望むよりは、エメルソン・ロイヤルやカラブリアが不安を払拭し、期待に応えてくれるかどうか大事だ。カルルの活躍を横目に、自分たちで右サイドの問題解決に取り組んでいくべきだろう。

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