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完敗ミラン、現実と理想のギャップ。イブラヒモビッチの影響力は逆効果?

リヴァプールに敗れていろいろな問題が浮き彫りに

ミランは17日、UEFAチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第1節でリヴァプールと対戦し、1−3で敗れた。強敵相手に完敗と言える内容でサン・シーロはブーイングに包まれ、チームに対する不信感はさらに強まった。

なぜ、ミランはここまでうまくいっていないのか。その原因は、選手のパフォーマンスだけでなく、戦術やクラブの方針にまで及ぶかもしれない。

個々のパフォーマンス

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、ダヴィデ・カラブリアに4.5を付けて、この試合のワーストプレーヤーに選出し、右サイドの守備が崩壊を指摘。ほかにも、フィカヨ・トモリとストラヒニャ・パブロビッチのセンターも不安定だったとし、ボールが収まらなかったアルバロ・モラタも5.5と評価は伸びずに終わっている。ゲームをつくれなかったルベン・ロフタス=チークやタイアニ・ラインデルスも低評価で、チーム全体が良くなかったという評価だ。

戦術的なミス

カラブリアの守備でリヴァプールの個の力に対応できないことは想像に難くないだけに、戦術に問題があることは明らかだろう。各ポジションの距離感が悪く、守備で数的優位をつくれないことが多く、だからこそ、カラブリアは分の悪い1対1を戦わざるを得なかった。これは戦術の浸透がまだという言い訳もできそうだ。

実際、パウロ・フォンセカ監督は試合後、「現時点でリヴァプールの方が上」と敗北を認めていた。

そもそもの選手起用がおかしいという意見もある。試合後にフォンセカ監督とやりとりをしたズボニミール・ボバンは、「ラインデルスはトップ下じゃないし、6番でもない。明らかに8番だ。ロフタス=チークは4番でも6番でも10番でもなく8番だ」と語り、4−3−3の方が距離感よく戦えるはずだと問い掛けた。これに対してミラン指揮官は、「他人の意見は尊重する」としながらも「ラインデルスはフォファナの近くでプレーするタイプではないと考えている」と述べ、自分の理念に則った選手起用であることを強調していた。

戦術については、ファブリツィオ・ビアシン記者がリヴァプール戦のあと『TMW』で「スコア以上に戦術の設定に問題がある。個々のパフォーマンスうんぬんより、戦術的なアプローチが良くない。だからリヴァプールに手も足も出なかった」と記し、特にヴェネツィア戦の戦術は良くなかったと勝った試合についても酷評した。そして、「強力な選手がいても、こういった戦術ミスが続くと勝利は遠のいていく」と、指揮官の手腕に疑問を投げかけている。

同記者は、そもそもマッシミリアーノ・アッレグリを招へいしなかったことが現在のミランの状況の始まりだとし、監督選びから間違えだったと指摘した。

イブラヒモビッチの理想

そうなると、責任の根源はクラブ首脳陣ということになる。

試合前、ズラタン・イブラヒモビッチが『スカイ』のインタビューに応じた。そこでボバンが、「誰も君の役割を分かっていない」と質問すると「じゃあここで説明する。オレは責任者で、ボスで、誰もがオレのために働いている」と述べ、自身の影響力を誇示。監督選びに彼の影響が及んだ可能性は高い。

リヴァプール戦後、フォンセカ監督は「ミランに呼ばれたのはチームのプレースタイルを変えるため。今もそれをやろうとしている。私がここにいる理由は、自分のスタイルをチームに導入するためだ」と語り、周囲の声には耳を傾けずに戦術の浸透を目指すことを強調した。

フォンセカ監督はローマ時代の評判があまり良くないものの、リールでは魅力的なサッカーだと称賛されていた。その評判を聞きつけ、ミランは現実的なアッレグリのようなタイプではなく、フォンセカのような指揮官を選んだと考えられる。

理想を追い求めるあまり、現実が見失われているミラン。ティフォージの不満は早くも頂点に達しつつあり、次節のミラノダービーが今後のチームの行方に大きく影響するかもしれない。

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