ローマ側の見方は?
ミランは今夏の移籍市場でローマからタミー・エイブラハムを獲得した。『ラジオ・ロマニスタ』のディレクターであるダニエレ・ロ・モナコが、『MilanNews』のインタビューで、ミラン新戦力について語っている。
この夏にミランはアルバロ・モラタを獲得。そのバックアップとして早い時期から注目されていたのがエイブラハムで、最終的にアレクシス・サレマーカーズとトレードの形でミランが獲得を決めている。
セリエA第3節のラツィオ戦では、早速ラファエル・レオンに良いアシストをしており、期待は高まっているところだ。ローマ側からみて、エイブラハムはどんな選手なのだろうか。
エイブラハムのローマでの3年間はどうだったのか?
「ローマでは彼に4000万ユーロがかかり、それに伴い大きな期待を背負っていた。最初の年は非常に良く、27ゴールを挙げ、その金額に見合う活躍をした。しかし、2年目はその水準を維持できなかった。多くのチャンスを逃し、ますます自分の価値を証明しようとするうちに、精神的な余裕を失い、簡単なチャンスも逃すことが増えた。シーズン終盤に重傷を負ったことが、彼のローマでのキャリアにとって致命的だった。復帰に8カ月かかり、その後戻ってきた時には、以前の彼ではなくなっていた。良いパフォーマンスをほとんど思い出せないし、気持ち的にブロックされたかのようだった」
選手としてどう評価するか?
「彼は典型的なストライカーではなく、動き回るのが好きで、仲間と連係するのを好む。決して静的なタイプではなく、驚くべきダイナミズムを持っている。これが時々、彼自身に無理をさせ、冷静さを失わせることにつながっていると思う」
ミランでは良いスタートを切った
「彼は素晴らしい技術を持っている。レオンのゴールをアシストしたシーンはその証拠だ。あのように高速なボールを止めるのは技術がなければ不可能だ。一方で、ローマで彼が示したように、極端に良いプレーをしようとする欲望が彼を混乱させることもある。その結果、素晴らしいゴールを決める一方で、簡単なチャンスを逃すこともある」
ローマは2023年の夏に彼を売却する予定だったが、ケガが状況を変えた。昨シーズン、彼に対する敵意はあったか?
「敵意ということはない。彼には責任がなく、スポーツ面での苦難を経験したということだ。もちろん、SNSの反応を見ると、どんな事柄でも敵意があるようにみられるが、それをサポーターの姿勢を映す鏡と見なすのは間違いだろう。匿名性を隠れ蓑にした誇張があるだけだ」
彼の移籍はローマでどのように受け止められたか?
「移籍は好意的に受け入れられた。ここでは、デビューシーズンのような成功を再び経験することは難しいという感覚があったからだ」
彼はミランに何をもたらすことができるか?
「ミランが最初の3試合で抱えていた問題を引きずるなら、タミーもまた冷静さを欠く可能性がある。彼はチームの問題や自身の問題を背負い込む。チームが順調なときの彼は素晴らしい選手だが、何かを証明しなければならない状況では冷静さを失う」
性格的にはどうか?
「彼は非常に感情的な選手で、ゴールを逃すと精神的に落ち込んでしまう。しかし、彼は情熱的で、全力を尽くす選手だ。ローマでは、ファンと一緒にクラブのアンセムを歌うこともあった」
エイブラハムがミランに移籍した取引の中で、逆にサレマーカーズがローマに移籍したが、どう思うか?
「彼の影響は非常に良く、個人的にはローマにとって完璧な選手だと思う。相手をかわすことができるウイングが必要だった。彼はレギュラーとしてもプレーできるし、戦術的なバリエーションを提供してくれる。ダニエレ・デ・ロッシが3バックに切り替える場合でも、彼はウイングバックとしてもプレーできる選手だね」