U-23で伸び悩んでいたはずが突如「新たなキエーザ」候補に
ユヴェントスのサムエル・バングーラは、セリエAの次世代スターとして注目されている若手だ。2024年夏のプレシーズンで頭角を現し、8月20日に行われたコモとの開幕戦でスターティングメンバー入りすると、1得点1アシストを記録した。突如現れた新星は、どんなキャリアを過ごしてきたどんな選手なのか。イタリアメディア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』『レプッブリカ』の報道をもとに紹介する。
プロフィール
サムエル・バングーラ(Samuel Mbangula)
生年月日:2004年1月16日(20歳)
国籍:ベルギー
ポジション:ウイング、攻撃的MF
身長:181cm
これまでのキャリア
バングーラはベルギーで生まれ、2014年から2019年にかけてクラブ・ブルージュの下部組織でプレーしたのち、アンデルレヒトに移った。アンデルレヒトのユースチームでプレーが高く評価されて注目を集め、コロナ禍だった2020年にユヴェントスに加入し、イタリアでのキャリアを始めている。
ユヴェントス加入後、バングーラはすぐにチームに馴染むことはできず、特にイタリアのプレースタイルに適応するのに苦労した。しかし、ポテンシャル、フィジカル、テクニックといずれも高く評価され、2022/23シーズンにはユヴェントスのプリマヴェーラで定位置を獲得して29試合に出場して6得点3アシストを記録している。
しかし、翌2023/24シーズンはNext Gen(U-23ユヴェントス)でやや伸び悩んだ。負傷による離脱があったとはいえ、セリエCレギュラーシーズンで先発はわずか5回と、あまりインパクトを残せていなかった。
それでも、2024年のプレシーズンにトップチームのキャンプに呼ばれると、その才能を遺憾なく発揮。チアゴ・モッタ監督の信頼をつかみ、開幕スタメンに抜てきされた。
セリエAデビュー戦で初得点
バングーラは8月20日の2024/25シーズン・カンピオナート開幕戦で先発した。23分に左サイドからカットインして右足のシュートを決めると、2点リードで迎えた90分にはサイドチェンジでアンドレア・カンビアーゾのゴールをお膳立てし、1得点1アシストという最高のデビューとなっている。
翌日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は7の採点を付けた。マン・オブ・ザ・マッチは7.5のケナン・ユルディズに譲ったものの、「これ以上なく甘い夢のデビュー。ドグラス・ルイスの代わりにサプライズでスタメン起用され、ゴールで始まり、カンビアーゾの3-0のゴールにつながるパスで締めくくった。大胆さと個性を見せた」と称賛した。
『TMW』は、7.5の単独最高評価とし、「この夜の主役は、セリエCでスペースを見つけるのに苦労していたU-23のウイングだった。モッタ監督は彼の合宿での献身を評価し、デビュー戦でその報いを完全に受けることになった。先制ゴールだけでなく、多くの貴重なプレーを見せた」と記している。
プレースタイル
バングーラは主に左ウイングとしてプレーするが、右ウイングや攻撃的ミッドフィルダーとしても起用可能な多才な選手だ。利き足は右足で、左サイドからカットインしてシュートを狙うプレーを得意としている。まさに、開幕戦で見せた形である。決して大柄ではないが、スピードとテクニック、そして身体能力の高さは対戦相手にとって脅威となる。
また、バングーラはフィニッシュだけでなく、チャンスメイクにも優れた能力を持ち、攻撃の多くの場面で関与できる。『ガゼッタ』は後日、「新たなキエーザ誕生の予感」とバングーラに言及。プレースタイルがフェデリコ・キエーザに似ているとし、今夏の放出が濃厚なイタリア代表ウインガーの後釜になるかもしれないと記した。
マメ知識
- ベルギー代表歴:ベルギーのユース代表に選出された経験があり、将来のフル代表入りも期待されている。
- ルーツ:バングーラはコンゴ民主共和国にルーツを持つベルギー人で、ベルギーとアフリカの2つの文化的背景を持つ。
- 契約:ユヴェントスとは2026年までの契約を結んでおり、クラブは彼の将来性に大きな期待を寄せている。
- 趣味:音楽。特にラップやヒップホップを好んでいるという。
- リヴァプールとの競争:ユヴェントスはアンデルレヒトからバングーラを獲得したが、クラブ・ブルージュ在籍時から目を付けていたという。その後、アンデルレヒトに加入した際、クラブ間の良好な関係を活かして迅速に獲得を決めた。リヴァプールも獲得に乗り出していたが、当時ユヴェントスはアンデルレヒトにマルコ・ピアツァをレンタルしていたこともあって、交渉で優位に立ったとされる。
- 2021年夏には、アンデルレヒトからジョセフ・ノンジェがユヴェントスに加入した。同選手は現在、Next Genに所属している。
- ムバングラという表記もあるが、バングーラの方が近そう。(本人の発言から。動画は下記に)
まとめ
開幕先発で世間を驚かせたバングーラは、新たなキエーザになれるのだろうか。対戦する各クラブが対策をしてくるこれからも、左サイドからのカットインは通用するのか。チアゴ・モッタ監督が目を付けた若手がどんな成長を見せるのかに注目が集まる。