ピオ・エスポジトへのファウルにはPKが与えられるべきだった
インテルは10月29日に行われたセリエA第9節でフィオレンティーナに3−0と快勝を収めた。結果としては圧勝だったため大きな話題にはならなかったが、この試合でもインテルに不利な判定があったことが後に明らかになった。『DAZNイタリア』の番組内でジャンルカ・ロッキ審判委員長が、誤審を認めている。
問題のシーンは54分、フランチェスコ・ピオ・エスポジトがゴール前で転倒した場面だ。ピエトロ・コムッツォの手が、明らかにピオ・エスポジトの首をつかんでいたにもかかわらず、ファウルの判定は下されず、試合は続行された。
ロッキ審判委員長はこの場面について、「PKに値する明確なファウルだった」と認め、さらにVARが主審をオンフィールドレビューに呼ばなかったことも問題だと指摘した。
この時点ではスコアは0−0であり、もしPKが与えられていれば、試合の展開は大きく変わっていた可能性がある。試合を左右しかねない、まさにターニングポイントとなり得た場面だった。
審判団の会話
この場面における審判団(主審シモーネ・ソッツァ、VARダヴィデ・ゲルシーニ、アシスタントVARダニエレ・キッフィ)のやり取りが番組で紹介された。
ゲルシーニ(ソッツァに): ちょっと待って、チェック中
キッフィ(ソッツァに): ちょっと待って
ソッツァ(選手に): 「下がって、下がって。ドドー、落ち着いて!」
ゲルシーニ: もう一つ見せてくれ
キッフィ: まずこれを見せる
ゲルシーニ: 抑えている
キッフィ: ゴールラインの映像も出す。今見せる。スローも見せるね
ゲルシーニ:ああ
キッフィ: 最初のところも見て、ボールを取ったあたりから
ゲルシーニ: ここから? ここは何もないな。続けて
キッフィ: ちょっと待って、シーモ(ソッツァ)
ソッツァ: 了解
ゲルシーニ: よし、これはオフサイドじゃないね? 続けて、流していいよ。ここは何もない
キッフィ: そうだな
ゲルシーニ:エスポジトは何してる?
キッフィ: 最初からエスポジトの動き見せようか?
ゲルシーニ:お願い
ソッツァ(選手に): ファウルの可能性がある
ゲルシーニ: どう思う? チェックは必要か? 私は問題ないと思う。チェック完了、プレー再開
していいよ
ソッツァ: 分かった、ありがとうみんな。
曖昧な責任とVARの不備
この音声記録から明らかなように、VARルーム内では「チェックの必要があるかもしれない」との疑念があったものの、最終的にはゲルシーニとキッフィの2人で問題ないと判断し、主審をオンフィールドレビューに呼ぶことはなかった。本来であれば、主審ソッツァ自身が映像を確認し、最終判断を下すべき場面だった。
『FcInterNews』は、ゲルシーニが「どう思う? チェックは必要か?」と尋ねたやり取りに着目し、これは明確な責任を回避しようとする姿勢の表れだと分析。また、主審ソッツァが自ら確認せず、VARの判断のみに頼ったことも不適切だったと批判している。
さらに同メディアは、VARプロトコルの不徹底が問題の核心だと指摘。ナポリ戦に続く出来事で、4日間で2回もインテルに降りかかったことになる。
ロッキ審判委員長はメディアの場に出て映像を確認する立場上、ミスを黙認することはできず、関係者を公に非難する形を取らざるを得ない。しかし、それはあくまで「起きてしまったミス」をあとから指摘するものであり、「ミスを未然に防ぐ仕組みが機能していない」という構造的な問題がより深刻である。
議論好きのイタリアにおいて、うした場面が波紋を呼ぶのは避けられない。それでも、少なくとも主審が自ら映像を確認し、最終判断を下していたならば、議論の方向性も異なっていたのかもしれない。
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