怒りのパフォーマンスに賛否
人種差別問題が根強く残るイタリア。今週末のセリエB、ブレッシア対サンプドリア戦で新たな事件が発生し、注目を集めている。
この一戦では、サンプドリアのエベネザー・アキンサンミロに対して、試合中に人種差別的なチャントが繰り返され、主審が試合を一時中断して注意喚起を行った。
アキンサンミロも黙っていなかった。サンプドリアがゴールを決めたあと、ホームチームのサポーターが陣取る席に向けて挑発的な行為をし、注目を集めている。
試合後、ブレッシアのピエルパオロ・ビゾリ監督は「暴力を煽る行為」と非難。挑発行為がさらに観客を刺激するリスクを懸念した。
一方でサンプドリアのレオナルド・センプリチ監督は、「交代させてしまって申し訳ない。彼はピッチ上で最高の選手だったが、退場になることもあり得ると思って下げることにした。アキンサンミロは素晴らしい青年だ。正しい反応をするのは簡単ではない。残念なことだが、人は時に人間性を見失ってしまうものだ」と述べた。
インテルは13日、この一件にSNSで反応。「私たち世界中が兄弟で、いかなる差別にも反対。エベネザー、私たちは君のそばにいる」と投稿した。
アキンサンミロの代理人であるクレシェンツォ・チェチェーレは『Radio Sportiva』のインタビューに応じ、この出来事を振り返った。
「私はスタジアムにいた。正直、笑ってしまったよ。彼の反応は挑発的だったけど、とても美しく思えた。地元のティフォージの前でやるなんてね。人種差別は深刻でデリケートな問題だが、彼は笑顔で受けとめた。彼がピッチで良いパフォーマンスをしていることへの嫉妬もあったのだろう。だから、彼は反撃したかったんだ」
「主審が一時試合を止め、スタジアムに人種差別をやめるようにアナウンスが流れた。それが彼をさらに奮い立たせて、よりアグレッシブになった。彼はロッカールームに戻るわけでも仲間と涙を流すこともせず、プレーを続けることを選び、サンプが得点を決めたあとで少し相手のティフォージをからかっただけだ。彼は冷静で、この経験からたくさんのことを学ぶだろう」
「アキンサンミロは才能のある若手で、プロの舞台でまだ5カ月だ。インテルもその成長をみている。彼が成長していることが大事だね」
2024/25シーズンのアキンサンミロ
インテルからのレンタルでサンプドリアに加入しているアキンサンミロは、今季セリエBで全試合に出場している。最近はスタメンでの出場が続いていたが、ブレッシア戦ではマッシモ・コーダが先制点を決めたあとの行為で警告を受け、41分に交代を命じられていた。