起用に応えられなかったアスラニと、期待しすぎたラウタロ・マルティネス
インテルは15日に行われたセリエA第4節のモンツァ戦を1−1の引き分けで終えた。マンチェスター・シティ戦、ミラン戦とタフな日程が続く前に、しっかりと勝っておきたかったゲームだが、落とし穴に引っかかっている。問題点はどこにあったのだろうか。
戦術的なアプローチは変わらず
インテルの立ち上がりは悪くなかった。左サイドのフェデリコ・ディマルコがたびたび質の高いクロスを入れ、得点を予感させるシーンがあった。
ただ、時間の経過とともにモンツァの守備に適応された。ダヴィデ・フラッテージが得意とする2列目からの飛び出しを狙っていたが、モンツァはしっかりと警戒してスペースを消して対処している。
本来、このスペースを生み出すのはラウタロ・マルティネスとマルクス・テュラムの連係だが、この日の「Thu-La」はかみ合わず、全くといっていいほど良い連動がなかった。右サイドはマッテオ・ダルミアンがなかなか攻撃に絡めず、中央も右も停滞し、左サイドに偏った攻撃となった。
しっかり引いた相手には、素早くパスをつないで綻びを生み出すのが定石だが、インテルの攻撃はややスローペースとなった。相手MFウォーレン・ボンドが効いていたとしてもインテルのパス回しは遅く、セットプレー以外でチャンスを生み出せていない。
3トップとしたあとはチャンスが増えたものの、モンツァに先制を許すと、同点に追いつくのがやっとで、勝ち点2を失った。
ハカン・チャルハノールは不可欠?
パス回しが遅れた原因の1つは、クリスチャン・アスラニだ。翌日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「インザーギをがっかりさせた。前を向かず、後ろ向きのプレーばかり。ボールタッチも多すぎる」と酷評し、最低タイの「5」という採点を付けている。
周囲の動き出しが鈍かったのは、プレーメーカーのリズムの違いが影響している可能性がある。そうなると、やはり簡単な試合でもハカン・チャルハノールを休ませることはできなくなってしまう。
データサイト『Kickest』によると、インテルは第4節終了時点でドリブル成功数がリーグワーストの9回成功(34回中)となっている。アレクシス・サンチェスが去り、タジョン・ブキャナンが離脱中のインテルのドリブル数が少ないことは予想の範疇で、一概にネガティブなこととは言えないが、それならばパスで崩すことができなければ意味がない。
インザーギの選択
過密日程を戦うインテルは、ターンオーバーが今季のカギになるだろう。これからのタフな相手を考えると、代表ウィーク明けのメンバー選択は重要で、フラッテージやカルロス・アウグスト、アスラニの起用は理解できるものだ。その中で、ラウタロ・マルティネスの起用は疑問が残る。
シーズン開始からここまで、カピターノの状態が万全ではないことは誰の目にも明らかだろう。ジュゼッペ・ベルゴミはモンツァ戦のあとに『スカイ』で「フィジカルの問題があるようだ。昨シーズンは得点がないときでもチームに貢献していたのだが、いまは違う。コンディションが良くないと思う」と述べ、パオロ・ディ・カーニオは「私のお気に入りだが、いまは足が重たそうだ。これは通常、1月や2月に起こることだが、だいぶ早くきているように思う」と語り、どちらも状態の悪さを指摘していた。『ガゼッタ』も翌日の紙面でワーストプレーヤーに選出している。
ラウタロ・マルティネスは、夏にコパアメリカがあったため、遅れての合流が許可されていたものの、自らの意思でオフを早めに切り上げてチームに合流して開幕を迎えた。その後、第2節レッチェ戦を筋肉のトラブルで欠場し、第3節アタランタ戦でプレーしたあと、代表ウィークでアルゼンチン代表に招集された。
インテルのFW陣はホアキン・コレアを除く全員が代表招集を受けていたが、ラウタロ・マルティネスは南米への長距離移動でイタリア帰国が遅い。加えて、戻ってきてすぐに、昨シーズンのスクデットを記念して製作した映画のプレミア上映もあった。
本人が出場を強く望んだというのは想像ができるとしても、ターンオーバーを敷くのであれば、最優先で休ませるべきだったのはラウタロ・マルティネスだったのかもしれない。
勝負のビッグマッチ2試合へ
インザーギ監督は試合後、入り方は悪くなかったと主張し、「もっと早くゴールが決まると思っていた」と話していた。だからこそのエースのスタメン起用で、早く勝負を決めて主力を引っ込めるというプランだったのかもしれない。しかし、結果をみれば、調子の悪いラウタロ・マルティネスを使った上に勝ち点も落としてしまい、控え組に自信をつけることもできなかった。
マンチェスター・シティ戦とミラン戦は、問題を大きくする可能性がある一方で、モンツァ戦のドローを払しょくするタイミングでもある。インテルは早い段階で立て直せるだろうか。