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26/27セリエAのサプライズ!フロジノーネ快進撃の理由

クラブ史上最高の開幕5試合

フロジノーネが快進撃を続けている。第5節では、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)を戦うコモを下す波乱まで起こし、ここまで3勝1分け1敗、勝ち点10で暫定5位。クラブ史上最高のスタートを切った。

昇格組がこれほどの数字を残すのは、近年のセリエAでも珍しい。

コモ戦の勝利は、GKロレンツォ・パルミザーニの好守に救われた場面もあったが、それだけで勝ち切れるほど甘い試合ではなかった。快進撃の中身を、開幕戦の敗戦、監督の戦術、そして得点源の分散という3つの視点から見ていく。

開幕戦はユヴェントスに敗れたが…

もっとも、シーズンスタートはあまり良くなかった。開幕節、本拠地スタディオ・ベニート・ステルペに迎えたユヴェントス戦は、22分にブレーメルのヘディングで先制点を許し、そのまま0-1で敗れた。終了間際にはCBカルヴァーニのヘディングがクロスバーを叩くなど惜しい場面もあったが、白星には届かなかった。

しかしこの黒星は、強敵相手にも戦えるという自信を生みだした。

第2節フィオレンティーナ戦を3-0で快勝すると、コッパ・イタリアではサッスオーロにPK戦で敗れたものの、カンピオナートでは第3節ヴェネツィアに3-2、第4節ジェノアと1-1、そして第5節コモに2-0と、4試合負けなしで勝ち点を積み上げた。

ボールを奪った瞬間に前線へ早く運ぶ形が徹底され、両ウイングを高い位置に置いてサイドバックと連係させる約束事が、試合を追うごとにはっきりしてきた。指揮官マッシミリアーノ・アルヴィーニが繰り返し口にする「つま先立ちでピッチに入らない」という姿勢が、開幕戦の敗戦を経て、より具体的な形になったと言える。

マッシミリアーノ・アルヴィーニとは何者か

アルヴィーニは、いわゆる「エリートコース」を歩んできた指揮官ではない。トスカーナ州フチェッキオの出身で、キャリアの出発点は1995年、地元のバーチームの指導だったと本人がLinkedInで記している。セリエA監督としては珍しく、自らの経歴をLinkedIn上で公開していることでも知られる。

そこから下部リーグを地道に歩んだ。トゥットクオーイオでは2008年から2015年にかけてプロモツィオーネ(6部相当)からセリエCまでクラブを押し上げ、レッジャーナでは2019/20シーズンにセリエB昇格を果たした。2022/23シーズンにはクレモネーゼでセリエA初采配を経験した。

だが、シーズン中に退任し、クラブは最終的に降格した。「下部リーグでは輝くが、トップカテゴリーでは苦しむ指揮官」という見方もつきまとった。

2025年夏にフロジノーネの監督に就任すると、2025/26シーズンのセリエBで2位となり自動昇格を勝ち取った。

戦術の骨格は4-3-3。ボール保持率を高めることよりも、奪った直後にいかに早く敵陣へ運ぶかを優先する、縦への意識が強いスタイルだ。

『L’Ultimo Uomo』によれば、2025/26セリエBにおけるフロジノーネは1試合平均のパス数がリーグ下位だった一方、敵陣ペナルティエリア内へのタッチ数はリーグ最多だったという。ポゼッションで押し込むのではなく、少ないタッチで相手の急所を突く。派手さはないが、狙いのはっきりした戦い方だ。

クレモネーゼでの失敗とフロジノーネでの成功を分けたのは、戦術そのものというより、選手層とクラブの現実的な立ち位置を一致させられたかどうかにありそうだ、と読める。

得点源の分散

フロジノーネの好調を、けん引するのが、FWアントニオ・ライモンドだ。ここまで4ゴールを挙げており、イタリア代表入りの話題も出ていた。

ただ、得点者は複数の選手に分散しており、誰か一人が抜けても攻撃が止まらない構造になっている。

守備はここまで4失点。2位のインテルの半分しか失点がないのも優秀だ。前述のGKパルミザーニ(U-21イタリア代表)が劣勢の時間帯をたびたび凌いでいることは事実だとしても、堅守も武器の一つである。

注目選手

アントニオ・ライモンド

2025年夏にボローニャからのレンタルで加入している。昨季はセリエBで11ゴールを挙げ、今季もフロジノーネにとどまった。左利きのセンターフォワードで、最終ラインの裏へ抜け出すタイミングの良さと、逆足でのフィニッシュ精度が持ち味だ。

ジョルジ・クヴェルナゼ

ジョージア代表の23歳。主に左ウイングを務める。2025/26シーズンのセリエBでは36試合5得点5アシストと、得点とチャンスメークの両方で存在感を示したが、今季はここまで3得点1アシストと、さらにペースが上がっている。中央でライモンドが相手センターバックを引きつけ、そこにクヴェルナゼが斜めに走り込むという役割分担が、フロジノーネの得点パターンの一つになっている。ライモンド一人への依存を和らげる、もう一つの得点源だ。

ジャコモ・カロー

中盤の底でゲームを組み立てるレジスタ。2025/26シーズンのセリエBでは10ゴール15アシストを記録。2位以下に大差をつけてアシスト王に輝いた。セットプレーの精度とラストパスの質で、昇格の立役者の一人に数えられる。セリエA昇格後も先発の座を守り、コモ戦では直接フリーキックを沈めた。前線だけでなく中盤からも得点に絡めるというのは、フロジノーネの攻撃が一人に依存していないことを象徴する事実でもある。

29歳で経験豊富なMFだが、セリエA挑戦は今季が初。視野の広さと右足のキック精度でフロジノーネの速攻を加速させている。

クラブとしてのフロジノーネ

フロジノーネは、ローマから南東へ約90キロ、人口4万人台の内陸都市チョチャリア地方の中心都市を本拠地とするクラブだ。

セリエAへの初昇格は2014/15シーズン。以来、2015/16、2018/19、2023/24と3度セリエAを経験しているが、いずれも1シーズンで降格しており、「昇格しても長続きしないクラブ」というイメージが定着していた。

その一方で、経営面では一貫して堅実さを保ってきた。2017年に開場した本拠地スタディオ・ベニート・ステルペは約1万6200人収容、クラブ自身が所有・運営する近代的な専用スタジアムで、長年クラブを率いてきたステルペ家の「身の丈経営」を象徴する存在だ。

2026年夏には、米国の投資ファンド、Clara Vista Investment Partnersがクラブ株式の80%を取得した。会長のマウリツィオ・ステルペは20%を保有しながら会長職を続けるという、資本面での大きな転換点を迎えている。

今夏はロマーノ・シュミット(移籍金850万ユーロ)、トマシュ・ボブチェク(同1070万ユーロ)といった、これまでのフロジノーネとしては踏み込んだ補強も行った。

とはいえ、最大のメルカートにおける最大の成功はライモンド、クヴェルナゼ、カロー、ファレス・ゲジェミスといった昨季の主力を残せたことにあり、資金力の拡大が今季の好スタートと無関係とは言えないだろう。

昇格しては1年で降格するというパターンを、フロジノーネはこれまで3度繰り返してきた。複数の得点源と、新たな資本という後ろ盾を得たフロジノーネが、この先どこまで勝ち点を積み上げられるかに注目が集まる。

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