ブレイクの予感漂う21歳
ヤコポ・ファッツィーニが、2024/25シーズンのセリエAで好スタートを切った。各世代のイタリア代表を経験してきた有望株は、どんな選手なのか。今後が楽しみな若手MFのキャリアや特徴などを、イタリアメディアの報道をもとに紹介する。
プロフィール
ヤコポ・ファッツィーニ(Jacopo Fazzini)
生年月日:2003年3月16日(21歳)
国籍:イタリア
ポジション:MF
身長:185cm
これまでのキャリア
ファッツィーニは、トスカーナ州マッサのカペッツァーノ・ピアノーレで生まれた。人口約6000人という小さな地域は海に面しており、幼少期は海とカルチョが身近にある環境で育った。サッカー選手としてはヴィアレッジョとカペッツァーノ・ピアノーレのクラブで過ごし、14歳だった2017年にエンポリの下部組織に引き抜かれた。
U-17エンポリで活躍したファッツィーニは、2020/21シーズンにプリマヴェーラで活躍。エンポリはこのシーズン、カンピオナート・プリマヴェーラで優勝しており、エンポリにとってファッツィーニは黄金世代の中核だ。
翌2021/22シーズンからはトップチームに呼ばれるようになると、2022年1月のコッパ・イタリア(対インテル)でトップデビューを果たす。同年8月には、パオロ・ザネッティ監督体制でセリエAデビュー。19歳4カ月のときだった。
2022年12月には、当時のイタリア代表監督であるロベルト・マンチーニが有望株を集めて合宿を行った。各世代のイタリア代表を経験しているファッツィーニはこのメンバーに呼ばれており、将来的にはA代表入りが期待される選手の一人だ。
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その才能は高く評価されており、これまでにユヴェントスやナポリへの移籍が取り沙汰されたがいまのところ動きはなく、2024/25シーズンからエムバイ・ニアンが退団して空いた10番を背負うことが決まっている。
プレースタイル
ファッツィーニは、モダンなセントラルMFとしての資質を備えた選手だ。攻守にわたって優れたバランスを持ち、特にボールを持った状態での推進力と視野の広さが際立つ。典型的な「ボックス・トゥ・ボックス」タイプで、攻撃では巧みなポジショニングと冷静なフィニッシュでチームに貢献し、守備では激しいプレスと精度の高いボール奪取で中盤を支えている。
ザネッティ監督は、ファッツィーニについて「ピッチ全体を駆け回り、試合のテンポをコントロールできる。素晴らしいフィジカルと技術を持ち合わせており、将来性は非常に高い」と語っている。ピッチの中央だけでなく、攻撃的ミッドフィールダーやサイドのポジションでも活かされており、戦術的な柔軟性をチームにもたらしている。
攻撃性能が開花?
ロベルト・ダヴェルサ監督率いる2024/25シーズンのエンポリは、3−4−1−2(もしくは3−4−2−1)のシステムをベースに戦っている。トップ下に入っているファッツィーニは、ここまで(第2節ローマ戦終了時)にカンピオナートでは得点関与は記録していないが、コッパ・イタリアのカタンザーロ戦ではドッピエッタを達成。ローマと対戦したリーグ戦でもたびたびチャンスに絡んでいた。
8月25日のローマ戦に出場したファッツィーニは、立ち上がりからチャンスに絡んでいくと、45分にはバイタルエリアでパスを受けて反転し、左サイドに展開。そこから先制点につながった。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は翌日の紙面で7の採点を付けてマン・オブ・ザ・マッチに選出し、「速攻と技術で前半は常に危険な存在に。試合の戦術的な武器だった」と記した。
『エンポリ・トゥデイ』も7の採点で「モンツァ戦はいまいちだったが、オリンピコで輝きを放った。全てが彼のプレーから始まった。ボールを持って相手を引きつけてドリブルで運び、ポストに当たったシュートも。コロンボが逃した決定機も彼から。先制点の場面も彼からだった」と称賛している。
マメ知識
- 幼少期には「プリンチピーノ」(王子)と呼ばれていた。その後、元イタリア代表のクラウディオ・マルキージオに似ていると紹介されるようになった。
- インテル戦でトップデビューした際、アウレリオ・アンドレアッツォーリ監督は「周囲はプリマヴェーラだと思ってプレーするように」と指示を出した。
- パオロ・ザネッティ監督は「完成された選手で、人間性も成長している。たくさん走り、質の高いパフォーマンスをする。シュートを打てて、飛び出しが得意で、タックルもうまく、エレガントだ。その上イケメンだね」と絶賛していた。
- 『AlfredoPedulla.com』では、現代的なMFであることを強調し、ジュード・ベリンガムやニコロ・バレッラのようなトゥットカンピスタだと紹介された。