救世主か問題児か…エラス・ヴェローナ新戦力は諸刃の剣
エラス・ヴェローナのシリル・ンゴンゲが注目を集めている。22歳の若手は、どのような選手だろうか。
プロフィール
シリル・ンゴンゲ(Cyril Ngonge)
生年月日:2002年5月26日
国籍:ベルギー
ポジション:FW / ウイング
身長:179cm
これまでのキャリア
22歳のンゴンゲは、6歳のときにアンデルレヒトの下部組織に加入し、14歳のときまでプレーしていた。
父のミシェル・ンゴンゲ氏が『GianlucaDiMarzio.com』に語ったところによると、14歳のときにアンデルレヒトからまだレギュラーとしてプレーするには早いと言われた。これを聞きつけたクラブ・ブルージュからすぐに連絡があり、新天地に決まったという。このときからウンゴニエは故郷を離れてクラブ・ブルージュの寮で生活。ミシェル氏は「あの年頃の子にはやはり親が必要で、選択を後悔したこともある。でも、今の彼を見ると幸せだ」と語った。
クラブ・ブルージュのユースでは、現ミランのシャルル・デ・ケテラールも一緒だった。トップデビューは2018年12月のスタンダール・リエージュ戦だが、このシーズンは大きなインパクトを残せず、2019年夏にPSVのリザーブチームへレンタルで移籍した。
このレンタルが終了したあとでウンゴニエはRKCヴァールヴァイクに完全移籍で加入。2021年夏からはフローニンゲンでプレーしていた。今季前半戦はフローニンゲンでエールディビジ11試合に出場。3ゴール2アシストを記録していた。そしてこの冬にエラス・ヴェローナへ移籍。セリエAデビューから3試合で2ゴールを挙げ、一気に注目の存在となっている。
イタリア行きはソフィアン・アムラバトにも相談したという。カタールワールドカップでモロッコ代表として活躍したフィオレンティーナMFは、もともとエラス・ヴェローナでプレーしていた。そして、ヴェローナの前に所属していたのがクラブ・ブルージュである。
突如のブレークに周囲は驚いているが、友人の飛躍も影響しているかもしれない。PSV時代に一緒だったノニ・マドゥエケは親友の一人だそうだ。その友人はこの冬にチェルシーへ移籍している。父は「彼は素晴らしい友人だ。チェルシーへの移籍が決まったことで、シリルのモチベーションは高まったはずだね」と述べている。ヴェローナのことを詳しく聞くためにビデオ通話をしたところ、「アムラバトは良いことしか言わなかった」とのこと。イタリア語の習得にも意欲的に取り組んでいるそうだ。
素行に難あり?
ただ、まだ手放しで喜ぶには早いかもしれない。なぜ、フローニンゲンでそれほど価値を高められなかったのかは気になるところだろう。
ンゴンゲは今季エールディビジ11試合に出場し、3ゴール2アシストという成績。開幕から2試合で2ゴール1アシストと好発進を切ったが、その後はふるわなかった。
オランダ『AD』によると、ンゴンゲは態度の問題により、シーズンのはじめの数週間はチームから外されていたという。それでも素行の問題は変わらず、12月にはフローニンゲンのテクニカルディレクターが「シリルは才能ある若者で、本人もその自覚があるが、フローニンゲンでサッカーをする上で求める基準や条件に達していない」とばっさり。素行が問題でチームを追い出された格好だ。
そうしてやってきたヴェローナ。クラブが残留すると、2年の契約延長を交わすことになるとされている。このまま行けば大ブレークの可能性もあるが、調子を落とし始めたときに過去にもあった素行面の問題が出てきてしまう心配はありそうだ。18位と降格圏に低迷するヴェローナにとって、諸刃の剣と言える新戦力かもしれない。
マメ知識
- 上記インタビューに登場するミシェル・ンゴンゲ氏は元プロ選手。ワトフォードやQPRに所属し、プレミアリーグでもプレーした元DRコンゴ代表。
- 父によると、ンゴンゲは生後9カ月で歩き始めた。寝るときはいつもボールを抱いていたという。
- ンゴンゲはデビューから3戦で2ゴール。昨年夏にミランに加入したデ・ケテラールはもちろん、インテルのロメル・ルカクよりも今季セリエAでのゴール数が多い。(2023/2/16時点)